在り処を求めて
在り処を求めて
大量に採れた四葉のクローバー 流れ作業で挟んで押して
積み上がった栞を冷めた目で眺める 今日も明日も明後日も
雨が降ると少しだけ安心するんだ 雨音が全てかき消し
変わってしまったこの景色を 少しの間見なくてすむから
何よりも見慣れた薄くなった影 灰色の街に佇む
行くあてなんてどこにもなくて 水たまりに目を落とすんだ
薄桃の花筏 浮かぶ川面
笹舟を編む 血管の浮いた手
祭囃子と屋台の光
木の実の飾りに 焼き芋の香
ボンネットに積もる白雪
みんなみんな どこへ行ったの?
ねえ神様 貴方のお庭はこんなにも狭かったですか
歩み続けて 歩き疲れて こころの外に在り処を求めて
"故郷"なんてありもしない幻に いつまで縋っているんだか
迷いまよって ふと思うの 郷愁ってどんな感情だったかな
小さなわたしの居場所は もうどこにもないのだろう