タグ「ミクオ」のついた投稿作品一覧(7)
-
天鳩は、手近な窓から、身を躍らせると、そのまま、木立の中に、舞い込んだ。
自分と同じ色の影に隠れて、天鳩は、小さく、息を付いた。
それから、その息を取り戻すように、大きく、息を吸い込んだ。
胸に、体中に、緑の香りが行き渡ってゆく。
淋しいことや、哀しいこと、辛いこと、心の曇りを、陰りを、追...世界の創り方 『双子の月鏡』番外編ニ
-
カップリング注意です。レンリン(双子に近い関係ですが、現在の倫理観に基づく近親相姦には当たらないかと思います)、ミクオ→ミク、それから、本編の都合上、書くことになったのですが、ほとほと、ありえなくて、申し訳ありません、ガクポ×カイコという、よくわからないカップリングが含まれます。これらのカップリング...
世界の創り方 『双子の月鏡』番外編一
-
「あ!!」
「道が終わった」
光の道は、蓮と鈴の真上と真下で、円を描き、そのまま、消えていた。
「ここが、そうなのかな?」
「たぶんな」
光の円を覗き込みながら、そう聴いた鈴に、蓮は、光の円を見上げながら、そう答えた。
「くぐってみる?」
「空からと水から、どっちから? それとも、二人で、一遍に...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 十九
-
「あ!! この衣! 蓮君のだ!!」
水面近くになって、海渡が叫んだ。
巨大な岩に、金襴の刺繍の施された布(きれ)が、引っかかっていたのだ。こんなに、豪華な刺繍のものは、そうそうはないし、だいたい、今日の蓮の衣装も、持ち物も、海渡は、ありありと思いだせる。
「こっち側は、剣で、切ったんだね。蓮君の...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 十五
-
「天鳩(ミク)お姉ちゃん……どうしているかな?」
ふいに、鈴が呟いた。先ほどから、遠くを見るような目をすることが多かったし、ずっと、考えていたのだろう。
もう、海は静まっているとはいえ、その気持ちは、蓮にも、痛いほど、よくわかった。
「どうだろうな」
ただ、だからこそ、安易な答えは返せなかった...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 十四
-
とうとう、この夜が来た。
蓮は、下弦の月を見据えながら、先ほど、かったるい儀式で、賜(たまわ)ってきた、剣の束を、ぎゅっと、握った。
蓮の肩に、ポンと、手が置かれる。見やれば、“僕がいるから”とでも言うように、海渡が、微笑んでいた。
頷いて、自分も、軽く微笑む。それで、肩の力が緩んで、必要以...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 十一
-
十枚目の楽譜を暗譜し終えた蓮は、はたと、海草が生い茂っているところを睨んだ。
「海九央(ミクオ)! そこで、何やっているんだよ」
守り帯を下げて、蓮が叫ぶと、海草の密集したところが、サワサワと掻き分けられて、その海草と同じ色の髪と瞳の少年、海九央が現れた。
「あ。神子蓮。いいもの、巻いているね」...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 六