「おい」

青年の声が、僕の耳に入った。

目を開けると、そこに居たのは青いマフラーを首に巻いた青年だった。

「な、なんでしょう?」

「弱音ハクという人間がいるはずだ。どこにいる?」

「は、ハク姉さんですか?」

「そうだ。どこにいる。彼女はとある“作品”を書いているはずだ」

「まあ、確かにハク姉さんは小説を書くのが大好きですけど……ってなんで知ってるんです?」

「ここは……ああ。だいたいわかる。この世界の予備知識は持っているからな」

「……?」

僕はその男の言ってることがさっぱりわからなかった。


「ま、いいや。ありがとう。少年」そう言って青年は敬礼する。

「あ、ちょっと。名前は?」

「……カイトだ。世界を変えるヒーローだよ」

そう言ってカイトは走っていった。まあ、いかにもだらしなく。





***





そして、カイトとやらが走っていったあと。

「レン! ちょっと!」

リンが何か僕を呼んでいる。

「なんだい?」

「また、人が来たんだけど」

またかよ。思わず僕はため息を一つ。

「ほら! ため息ついてないで! さっさと!」

とりあえず僕はリンの方へ向かった。


リンのところには、今度は髪が紫色の少年だった。年は……僕らと同じくらいだろうか?


「君は? 今度はなんだい? まさか神とでも言うんじゃないだろうね。もうおどろかないぞ」

僕はちょっとバカにした感じで言った。正直、反省してる。



それを聞いたかは別として、ようやくそれが口を開いた。



「ぼくは……神威。神威がくぽ。カイトを探しに……ここまできたんだ」







本編22話につづく。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

僕と彼女の不思議な一日【番外編後編】

そして、つながる。


本編→http://piapro.jp/t/OcRJ

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投稿日:2011/12/08 22:55:57

文字数:711文字

カテゴリ:小説

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