※この小説は悪ノP様の「悪ノ娘」「悪ノ召使」の二次創作文です。
悪ノP様とは全く関係ありません。私の妄想、私的解釈により書かせていただきました。削除依頼がありましたらすぐに削除致します。
原曲
「悪ノ娘」http://piapro.jp/a/content/?id=sjgxgstfm2fg2is4
「悪ノ召使」http://piapro.jp/a/content/?id=ktapoh00jbyf60v3
…―彼女の存在が罪だというのならばあなた方大人の方が罪深い罪人ではないのですか
凛とした彼の瞳に逆らえるものはいなかった。
たとえ一国を治める王であろうとも。
「王女様…―いや、リン」
「なぁに?」
久しぶりに彼女の名を呼んだ…懐かしい、まるで鈴の音のようなその響き。
「僕の服を着て、できるだけ遠くに逃げるんだ…いいかい」
「どうして?何で私が逃げなくちゃいけないの?私、レンも一緒じゃなきゃいや!」
綺麗な群青色の瞳が不安げに僕を見つめる。あぁ、なんて綺麗な瞳…これがあの暴君と蔑まれている王女?
…――まさか!
彼女は――リンは何も悪くない。悪いのは周りの強欲な大人達だ。
リンが暴君と呼ばれるようになったのは彼らの教育の賜物だろう。
…――王女様、この国の民はすべて貴女のもの…いいえこの世の全てが貴女のものなのです。貴女はこの世の王として民に裁きを下さねばなりません…――
…――わかりました。私は王女。この世のすべてを統べるもの…――
漆黒のドレスを身に纏った僕と薄汚れた召使の服を身につけたリン。ああ完璧だ。
僕は王女、彼女は召使。誰も僕らが偽物だなんて気付かない。
「リン…僕の大切な姉弟…一つだけ教えてくれないか」
最期にたった一つだけ彼女に聞きたいことがあった。それは僕が恋をしたあの緑の少女の国をなぜ滅ぼそうとしたのか、ということ。
「…青い国の王子様に結婚を断られたの。緑の国に好きな女性がいるって」
「それで戦争を…?」
こくり、と彼女は小さく頷く。彼女の瞳に一瞬だけ強い光が宿った気がした。
「…私は今まで言われるがままに国民から税をとり戦争をしてきたわ。でも自分の意志で戦争を仕掛けたのはこれが初めてだったの」
「…………」
「私は戦争が悪いことだとは思わないわ。だって強い国が弱い国の上にたつ…それは当然のことなのでしょう?」
「それじゃあこの国が滅ぼされるのも仕方のないことなんだね」
「……そう…ね。ねぇレン、私殺されるのかしら」
再び彼女の瞳が不安げに揺れる。僕は彼女を安心させるよう強く彼女を抱き締めると彼女の耳元で静かにそっと囁いた。
「大丈夫、この命に変えても君は僕が守るから…だから、ね、リン」
…――逃げて
そして
生きて―――…僕の分まで…―――
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