「 炉心融解 」
病室の窓から見える街はいつものように明るく、華やかだった。まるでそれが当たり前だというようにーー
冷たい麻酔を段々と覚めてゆく。ーーそうか、さっきまで手術をしていたんだったっけ。
「今日はここで早く寝てください。悪化すると困りますから」
看護婦さんの疲れた様な声がする。ーー当たり前だろう。何故って、もう午前二時にもなっているのだから。
「早く寝てください」と言われたものの、そんなにすぐ眠れる訳がない。なんせ、あの手術の後だったら寝る気力も無くなるほどに疲れるもの。
横を見る。白い棚の上にはオイル切れらしいライター。あれ、この病院火気厳禁じゃなかったっけ。
眠れないので横になるーーと同時に身体中が焼け付く様な胃の痛み。
痛い……誰か……助けて……
……蓮……。
助けて……!
この胃の痛みも、私の病も。
ーー全て嘘だったら、どれ程良かった事かーー
ーー見知らぬ場所。眩しい光が溢れている。今は丁度、昼下がりの頃だろうか。
ふと前を見ると、前に誰かいる。目を凝らしてよく見るとーー
「蓮!」
私は蓮に駆け寄った。蓮は私の弟ーーといっても私も蓮も双子同士だ。
蓮はいつものように微笑みを浮かべ、こちらに向かって手を振っていた。
「え……!?」
何故? 何故なの? 私は蓮を押し倒していた。そんなつもりじゃないんだ、何故、何故、何故なの? 蓮から離れようとしても体がどうしても動かない。いくら私の病気が酷くてなってもこのまま動けなくなるということはあり得ないーー蓮の首に向かって勝手に手が伸びてしまう。駄目だ、駄目! 動け、私の手! ーーと心の中で叫んでも、体は私の願いを聞いてくれない。ーーああ、もう駄目だ。蓮の首を完全に締めてしまっている……。
蓮の細い喉が跳ねるのを、どうすることも出来ないまま、私はただ泣きながら見ていたーー
「っ……はぁっ……!」
最近頻繁に見る悪夢。いつも蓮の首を絞めてしまう夢なのだ。
……そうか。
私は本当に、蓮の首を絞めてしまっていたんだ……。
入院費は、いつも蓮が私と較べものにならない程苦労しながら稼いでくれてーーたった十四歳だと言うのに。
ーー私は蓮を、無意識の内に苦しめていたんだーー
夢の中の蓮の虚ろな瞳が目に浮かぶ。あれ程蓮を苦しめていた私。そんな私はーー
「消えてしまったらいいんだ」
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