第二話
暗い暗い空間
私は、何故こんなところへ居るの?
私は、何故ここへ来たの?
私は、私は、私は…?
「…ろ」
「……っろ」
「おっきっろっ!!」
「ひゃあっ!」
レンの度アップの顔が視界いっぱいに映し出される
昨日の夜にレンと手を繋ぎながら家に帰ってきて、結局マスターを思い出せなくて、もんもんとしたまま就寝したんだっけ…
「女子の部屋に無断で入るとは、プライバシーの侵害よ!」
「馬鹿か!俺は、せっかく起こしてあげたというのに…」
「男のくせに!」
「それは男女差別だ!」
「はぁ?!」
「なんだよ?!」
ぴーんぽーん
「「あぁ゛!?誰だよ!」」
がちゃっ
「「…」」
「あらっ、おはよう。朝から元気が良いのね…」
「ミク…お姉様おはようございます」
「まぁ、よくも私に向かって逆ギレして…あははははっ…若いって良いわねぇ、私は八つ当たりを受けても…まぁ、年上だから?しょうがないといえばしょうがないけど?私としては気分が悪いわよねぇ、だって折角近くでアイスクリーム馬鹿に出会ったから、一緒にお菓子買って(もちろん、奢らせた)持ってきたっていうのに…こんなんだったらあg」
「まぁまぁ、ミクお姉様落ち着いて」
「そうですよ、そうですよ。さっきは本当に、ごめんなさい」
「…わかってくれたなら良いけど」
お菓子と聞いたら、謝らずにはいられない。
つまりは、食い物に釣られる簡単な奴…
って言わないでよね!
「そうだ、ミクちゃん。今日はなんで来たの?」
「あれ、リンちゃん覚えてないの?今日はマスターの命日だよ!」
「…命日?」
また、マスターの話
昨日に引き続き、何か引っ掛かる
「そうだ!今日は命日だったんだ」
「ちょっとー、レンまで忘れてたの?まったく…とんだ親不孝ね」
呆れ顔のミクちゃんは、ちょっぴり悲しそう
「リンは…マスターって人のこと…覚えてない」
「え?」
「あっ、あのね!本当に、記憶にないというか…うーん…わからないの」
「そうなんだよね。昨日、たまたまマスターの写真をリンに見せたんだけど、リンに何回聞いても知らないって…」
「そう…かぁ…」
やはり、マスターという人は実在したらしい
「ねぇ、リンちゃん!」
「何?」
「マスターが亡くなった時…リンちゃんが覚えてるかは、わからないけれど、リンちゃんね、私の記憶上では、マスターが亡くなった時に泣いてたよ」
「泣いてた…?」
「うん。それから何日間か部屋から出てこなくてそれで…」
───────ッ!?
いきなり、頭に激痛が走る
『──…思い出さないで』
「何を?」
『貴女が私を殺した』
「だから何の話?」
『殺したでしょ!?何でわかってくれないの!この、人殺し!人殺し!』
「だから、意味わかんないってば!」
『嫌だ嫌だ嫌だ!パパ…パパ…!?貴女が私を殺したの?私はパパに、もう会えない。それも、全部、貴女のせい』
「…」
本当に何なのこの子?
見た目は、小さい女の子
でも、見た目とは反対に、酷い言葉を機械のように吐き続ける
『────』
少女が私に何かを言いかけている瞬間に、私は記憶を失った
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