あの眠れなかった夜から数日が経過していたが、学校では特に何事も無く日々が過ぎていった。そう、“何事も無く過ぎていった”のだ。
私の言葉が効いたのか、あれ以来初音さんが無理に部活に誘って来るという事は無くなり、私自身もなんとなく彼女を避けていたので、以前の様な平穏な日常が戻ってきていたのである。
しかし、あれほど望んでいた日常だというのに、何故か私の気持ちは晴れなかった。それどころか、どこか物足りないとさえ感じている自分が居るのに気付き、どうしてそう感じているのかの理由が全く分からない、という状態だった。

 私は、相変わらずこの前の疑問の答えも出せずにいて、その上今感じている気持ちの正体も分からずにいるものだから、学校でも家でもずっともやもやした気持ちで毎日を過ごしていた。そのせいで今、授業中に上の空だったりクラスメイトとの会話で思わず素が出そうになったりと、とても“いつも通り”とは言えない状態になっている。高校に入ってからこんな事になるのは初めてだったので、私はただただ戸惑い、悩んでいた。
(この所毎日ずっと感じてる自分でも良く分からない気持ち、これは一体何だろ? この前といい今といい、なんでこんなにスッキリしないのかな。はぁ…。なんだか調子狂うな。)

 こうしてミスが続き、いい加減この状態から抜け出さなければ、と危機感に駆られた私はある日、一人でゆっくりできる昼休みの時にどうしてこんな気持ちになっているのかを改めて考えてみた。そして、とある結論に達してさらに戸惑う。
その結論とは、私の中でいつの間にかあの初音さんとの追いかけっこの日々の方が当たり前になっていて、その状況をどこか楽しんでいたからこそ今の平穏な日常が物足りなく感じている、というものだった。
(私が人との関わりあいを楽しんでた…? 嘘だ、そんなのありえない! なら、初音さんと居るのが楽しかったから? …それも違う! だって私は、他人とはもう二度と必要以上の関わりは持たないって、ずっと“独り”で居るって、あの時決めたんだから! でも、だったらなんでそれ位しか思い当たらないの? 分からない。どうしてなのか、全然分からないよっ!)
その事実を認めたくなくて必死に否定しようとするが、それ以外の理由が思い当たらない私はこの前と同じ疑問に再び直面する事となり、一人自問自答を繰り返す。だが、結局答えの出せないまま時間だけが虚しく過ぎていったのだった。

 初音さんが数日ぶりに私に声を掛けてきたのは、そんな日の放課後の事だった。

「菊音さん。あなたとゆっくり話したい事があるんだけど、これから空いてる?」
「…大丈夫だよ。特に用事ないから。」
私は、答えが出せずにいて一日中気分が最悪な状態のままだったので、誘いを断ろうと思った。けれど、なにやら彼女がいつもと違った真剣な表情と雰囲気だったため断りづらく、仕方無く了承する。
「良かった! じゃあ、先に屋上で待ってるから。」
すると彼女は、私に断られる可能性もあると思っていたのか、答えを聞いて嬉しそうな顔をした後に場所を告げると、そのまま教室を出て行った。言葉通り屋上に向かったのだろう。特に用事が無かったのは本当なので、私も帰宅の準備を終わらせてから彼女の後を追うようにすぐ屋上に向かった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

闇を照らす光 6 ~本当の気持ちは・前編~

やっと続き投稿、なんですが短めです。しかも前編のみ。
実は、一応あらかた書き終えてはいるのですが、一番大事な部分なので、文章力の無いながらも必死に書いては直し、直しては書き、の繰り返し中でとても今お見せできる状態じゃありません…orz 
このままだと挫けそうだったので、気合いを入れるためにもなんとかましだと思える部分までのみを投稿した次第です…。

こんな私ですが、必ず完結させるので、最後までお付き合い頂ければ嬉しいです。

最後までお読み下さり、ありがとうございました!

閲覧数:153

投稿日:2010/07/03 16:22:04

文字数:1,369文字

カテゴリ:小説

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  • レイジ

    レイジ

    ご意見・ご感想

    ということで、ここまで読ませて頂きました☆

    良い文章だと思いますよ!
    ただ、後半になって少し文章に力が入っているかな・・・。
    俺も良くけど、ラストってこれが書きたいっ!!!
    って想いが強くなって、逆に変な文章になってしまったりします。

    「素直に」、書いてみたらいいと思う。
    菊音さんみたいにね☆

    ちなみに、オリキャラを主人公に、ボカロキャラを脇役にする手法、結構参考になりました☆
    なるほど、この書き方だと自分がボカロの世界に紛れ込んだような錯覚が起こるなと。
    今度こんな感じで文章書いてみたいと思います♪

    ではラスト、頑張って!

    2010/07/07 23:48:41

    • lilum

      lilum

      どうもです。では、早速昨日のお礼の続きを。

      前回に引き続き、アドバイスありがとうございます。大変参考になりました!
      現在、前回のアドバイスと合わせてしっかり執筆に活かさせてもらっております。

      >結構参考になりました
      なんてもったいないお言葉!
      憧れのレイジさんからアドバイス頂けるだけでも嬉しいのに…感激ですっ(T_T)

      応援ありがとうございます!時間は掛かるかもしれないですが、必ず完結させますので、よろしくお願いします!
      それでは(^-^)/

      2010/07/08 21:16:03

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