地球以外の惑星に人類が住めるようになったセカイ。
優秀な科学者はある発明をした。
それはVirtualworld(仮想セカイ)。
その空間に入った者の望むものを見せると言う。
だがある不具合が発見され製造、使用は禁止になった。
その発明を最後に使ったのはAI(人工知能)。
この時代の人工知能はヒトガタで普通の人間に紛れて生活も出来ていた。
Virtualworldを使ったAIは廃棄処分されることになっていた。
だが科学者がVirtualworldをAIに使ったときどうなるかを実験するためにAIを引き取ったのだ。
こうしてAIはVirtualworldの被験体になった。
科学者はAIをサクラと名付けた。
AIは少年の形をしていたがとても美しい容姿をしていたので科学者は地球でみた桜の花を思い出しそう名付けた。
サクラの廃棄処分の原因は単に持ち主が要らないと判断したからだ。
AIに人権は存在せず扱い方はペットと同じということも多かった。
だが、厄介なのはペットと違い人間と同じ、いやそれ以上の知能を持っているという点だ。
だからこそ感情があると勘違いしてしまうのだ。
サクラの持ち主はサクラに心から惚れてしまった。
だが相手はAI、自分で考える力はあるが感情は持ち合わせてはいない。
どんなに愛情をそそごうともそれに応えてくれる筈はないのだ。
だがサクラは本当に高精度だった。
こんなときどう行動すれば良いのか自分で考えた。
持ち主の愛してるという言葉にサクラは同じ言葉を返した。
それから暫く、持ち主はサクラとの恋に溺れて行った。
だがそんな恋も長くは続かなかった。
サクラはフリーズしてしまった。
キャパオーバーだろう。
そんな機能は無いしキャパシティを超えているということもサクラはわかって居たが考えて、自分の答を選んだ。
サクラがフリーズすると持ち主はサクラを棄てた。
本来人間がそうなった場合カウンセリング等を用いて治療を試みるだろう。
だが哀しくもサクラはAIだ。
この時代AIなんかいくらでもある
処置が行われることはなくあっさりと廃棄処分になった。
そうして科学者がサクラを引き取ったのだ。
科学者は優秀だったのでサクラをほぼ元通りにすることができた。
科学者は実験が終わってもサクラを傍に置いておこうとしていた。
恋愛的なものではなく単なる庇護欲だ。
科学者はサクラに
「君が今1番望んでることを強く思って」
と言った。
サクラには望むという感覚がよくわかっては居なかったが自分がどうすれば前の持ち主に棄てられなかったのか知りたかった。
その時サクラは彼女に言われた言葉を思い出した。
「アンタがもう少し人間のことがわかればね」
この言葉は、AIのサクラにとって酷く理不尽な物だった。
だがサクラは人の気持ちというものを理解したかった。
人間のことを理解したかった
目を閉じる
『僕に人間を教えて』
強く願った
目を開けると一人の女が倒れていた。
サクラを棄てた持ち主だ。
どう見ても死んでいる
近くには産み落とされたとみられる赤ん坊。
これが生と死。
『僕には有り得ないこと。』
足りなかったのはこれか…
どうしようもないじゃないか。
涙が零れる。
あ、これが悲しいという感情。
よかった、ねぇ×××さん?
僕にもにんげんの気持ちすこしだけ分かったかも。
『今度会ったらずっと傍にいてくれますか?』
実験が終わるとサクラは意思の疎通が出来ず二度と目覚めることは無かったという。
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