すごすごと、厨房へと戻っていくソラ君を見ながら、
テトさんとミクさんは、話を続けた。

「絵本ね。4コマ漫画風の、か。面白そうね」
「でしょう。ほら、あの...。“となりの猫山さん”みたいな? あんな感じのホノボノ系で、さ」

そう聞いて、テトさんは、ニヤッと笑った。
「ああいう、日常系の、絵本とかマンガって、いいよね」

「それでね、ストーリーとか、キャラの設定は、コヨミさんにも、手伝ってもらってるの」
「ふぅん。そう。あの人なら、キャラクター作りは上手いものね」

ミクさんは、ポットに入った残りの紅茶をカップに注いで、つぶやいた。
「うん。もちろんメインは、“はっちゅーね”なんだけど」

「じゃ、いろいろ、他にも出てくるんだ」
テトさんの目が大きくなる。
「そうなのよ。変ったキャラが、ぽつぽつと」


●スケッチ風のキャラに...

「ふふ、面白そうね。でもさ、“”はっちゅーね”って、いろんなことできる感じね」
「いろんな?」
「フィギュアにしたり、絵本キャラになったり」

紅茶を口に運んで、一口すすって、うなずく。
「ほんとに、そうなんだ。私の予想していないように、自由に動いていく感じだよ」

そう言って、彼女はバッグから小さなノートを出した。
パラパラッとめくって開いたのは、イラストの描いてあるページ。

「ほら、ネ。こんな感じのキャラにするの」
「ほう」
のぞきこんで、テトさんは感心してうなずく。
「ラフスケッチみたい、だけど、これで? もう、できてるの?」

「そう。こんなスケッチ風のキャラの、絵本にしたいの」
「ふーん、いいね。可愛いし、ちょっとオシャレだ」


●4コマか、絵本か...

ミクさんは、うれしそうに微笑んだ。
「ホント?サンキュ」
「うん。いいよ。なんか、見てると、自然に動き出しそう」

そして、そのスケッチ画を、じっと覗き込んで...。
テトさんは、つぶやいた。
「でも、絵本と4コマ漫画じゃ、ちょっと違うからね。どっちにするの?」

「そうだなあ」
いわれて、ミクさんはしばし、考え込む。
「わたしのアタマの中では、ぼんやりとイメージができてるんだけどなあ」
自分のノートをぱらぱらとめくる。

ふと、思いついたように...
「絵本と、4コマ漫画の、折衷(せっちゅう)案にしようかな」

「え?どんな?」
ミクさんは、得意そうに言う。
「1ページに、1コマ。4ページで、一話完結なの。それって、新しくない?」

喜々としている彼女を見て、テトさんは思った。
「この人、もう、手抜きを考えてるんかいな??」(・_・?)

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玩具屋カイくんの販売日誌(297)  オシャレな絵本? マンガ?

閲覧数:102

投稿日:2017/09/09 22:33:24

文字数:1,088文字

カテゴリ:小説

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