有刺鉄線を眺めて嘆く
屋根の下からは動けないんだ
心に塀を建設して閉じる
外の世界で怪我しないように
それを見て誰もがケラケラ笑う
「どうしようもない臆病者め」
対して僕はヘラヘラ笑う
「ちょっと休みを謳歌するだけさ」
弓を引いて手を離すまでに
少し時間が掛かっていて
引いた弓から矢を放てば
遥かに遠くへ飛んで行くんだ
失われた物語を今取り戻せば
舞台の照明は一つ残らず此処に集まって
浴びせ掛けた中傷や妄言を取り消してよ
叫んだ声は空気の中で虚しく響いて
鏡の中を眺めたんだ
暗い人が映っていて
よどんだ目をしていたから
一瞬誰か分からなかった
時が経ち僕は気付いたんだ
心の塀にこもってみて
高くて外は見えないけれど
嘲笑う人すらもう居ないんだ
有刺鉄線を飛び越え歌う
刺が心に刺さらないように
夜の帳が下りたら合図
塀の外に出て彷徨ってみる
外の世界をフラフラ歩く
街の灯りが輝いて見える
僕は涙をタラタラ流す
なんでみんなそんな楽しそうなの?
弓を引いて手を離すまでに
少し時間が掛かっただけ
今からだって飛んで行くのか?
実際僕は気付いているんだ
閉じた目の中に見えた光は
闇の中 微かに滲んでたんだ
「もうちょっとハッキリと」
目を開けたら眩しくなった
浴びせ掛けた中傷や妄言を取り消してよ
叫んだ声は空気の中で虚しく響いて
今もまだ頭の中で消えないから
傷は傷のままで抱えて駆けていくんだ
失われた物語を今取り戻すよ
世界が僕を一人残らず忘れていたって
街の灯りごとに人の暮らしがあるなら
光の中に飛び込んでみたいと思ったんだ
ある日僕は歩いていて
水たまりを眺めたんだ
明るい人が映っていて
一瞬誰か分からなかった
時が経ち僕は気付いたんだ
心の塀を登ってみて
外の世界を眺めてみたら
街灯がまるでパレードだった
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