「暑いなあ・・・。一体全体どうして僕はこれをし続けなくちゃならないんだ?」
たしか秋にしては夏のように暑い天気の日だった。
その日学校を早く終えた僕は、双子の姉であるリンとともに裏山へきていた。
この学校は立地の癖に広い。校舎は今は使われない旧校舎を含めて五つあるし、プールに二つの体育館、キャンプ施設まである次第だ。
そんなんだから放課後になっても真面目に帰る人間なんている訳もなく、辺りにはまるで小学生のように遊び騒いでる人間ばかりだった。
「煩い。さっさと探せ」
「へーい」
僕はこれ以上反論しても無理と悟り、また作業に戻った。
いったい何をしているかって?
それは少し前に遡るーー。
***
放課後。僕は何時ものように荷物をまとめて帰ろうとしていた。先程“真面目な人間はさっさと帰る”だなんて言ったけど、僕はその部類に入っている。
まぁ、そんなときだった。
「あぁ。レン。こんなとこにいたっ」
思わず世界が終わってくれって思った。
僕の一番嫌いな人間のお出ましだ。
「なによ。レン。私に許可なしで帰ろうとしたの⁈」
寧ろそれが普通じゃなかろうか。
「ううん。レンは例外よ。だって私の弟ですもの」
なんて理不尽だ。
とりあえず僕は先ほど思った疑問をもう一度ぶつける。
「なんで僕はこの穴を掘る必要があるの?」
「そうね。タイムマシンを見つけることかな」
……なんども聞いたけどこれは酷いと思う。
タイムマシンなんて、埋めたこともないものをみつけようとしている。
「だから、私は“埋めたことを”覚えているの。あなたが覚えてないだけ」
「さっぱりわからないよ」
とりあえず僕はまたスコップを使って掘り始めるのだった。
つづく。
僕と彼女の不思議な一日【番外編前編】
番外編。リンレンです。
続きは明日くらいにでも。
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