「ガレリアン=マーロンをUSE暗星庁最高裁判所裁判長に任命する。」
「被告人は前へ…」
「裁判長…奥様と娘さんが…」
「眼を開けろ…開けてくれ!」
「…お父…様?」
「っ!!」
「治療は不可能です…つまり、再起は不能かと…」
「ねぇ…ガレリアン。『大罪の器』って知ってる?」
「それさえあれば、願いは叶う…」
「金を出せば、貴様を無罪にすることも…」
「王は奴が邪魔なのですね?」
「被告人を死刑に処する。」
「さあ 開廷の時間だ」
________________________________________
「近衛団長殿のご子息が強姦の罪で捕らわれたとか…」
ある貴族が同僚に向かって囁く。
「しかし、近衛団長殿は裁判長のマーロン殿に多額の金を渡したと言うではないか。」
USEでは日常的に見られる噂好きな貴族の団欒。
「なに?それで罪が許されるとでも?」
しかしそれは、時に政治的なものにまで話が及ぶ。
「貴殿はご存知ないのか?マーロン殿は金で判決を左右するお方だとかなり有名だが?」
話に参加していた貴族の内、数人が驚きの声を上げる。
「何でも時の宰相様の汚職事件でも金が動いたとか…」
そこで更に数人が身震いする。ここにいるのはほとんどが中堅貴族。宰相など雲の上の存在なのだ。
「ではマーロン殿は、かの『サジ汚職事件』から既に宰相殿に取り入っておられると…」
ある貴族が嘆息を漏らしながら呟く。
「宰相殿だけではない。今や王宮の半数近くの金がマーロン殿の意思で動くといっても…」
「シッ!!」
ある貴族が同僚が自慢げにしているマーロン裁判長の武勇伝を遮り、その同僚の背後を控えめに指差した。集まっていた数人の貴族がゆっくりとそちらを向くと、遠くからこちらに向かって歩んでくる黒装束の男がいた。
何人かは瞬時にそれが何なのかに気づき足早に去っていった。残りの貴族も直ぐに青ざめそれに続く。彼らが恐れる何色にも染まらぬ黒い影。それこそが疑惑の裁判長、ガレリアン=マーロンであった。
________________________________________
「被告人を無罪とする。」
私がそう告げると、被告人席の近衛団長ジュニアはガッツポーズをし、傍聴席にいた女性は泣き崩れた。私はそれを見て微笑む。彼の右手には槌が、机の下に隠れる左手には金貨の袋と札束がしっかりと握られていた。私は被告の父を無財にすることで、その息子を無罪としたのだ。
master of the court―第一話 悪徳裁判官と汚された法廷―
mothy_悪ノPさん(http://piapro.jp/mothy)の悪徳のジャッジメント(http://www.nicovideo.jp/watch/sm14731092)を自己解釈満点で小説にさせて頂きました。
実はこの話coffeeが買った「悪ノ王国」で知って以来ずっと小説にしたくって、僕がピアプロを始めるきっかけにもなった曲です。
ただ、ニコニコに出てないのに話を書いていいものか悩んだ挙句、気づけばもう7作目!!(細かく割れば11作目)
結局動画発表となった昨日は、それだけ暖めたネタのプレッシャーと綺麗過ぎるPVに圧されて断念(笑)
今日にずれ込んじゃいました。
こんな感じでやってきますが、これからもよろしくお願いします!
続きはこちら(http://piapro.jp/t/BYkg)
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