「一体師団長は何を考えておられるのだ…全くもって解らん」
「全くじゃな……」
広い廊下を三人の年配の男性がそんな事を言いながら歩いていた。
幾数十年からの栄光と莫大な国家と軍力を誇るこの国は長年に渡り近隣の小国との戦争を強いられていた。それもつい最近までは誓約や同盟を結ぶことで回避し続けどうにか『冷戦』を保ってきたのだが、その最大の敵国が宣戦布告を叩きつけた為に一大戦争は避けられない状態となっていた。
そこで帝國軍総長であり国家当主でもある『総帥』はその戦争が本格化する対策として遠国の軍人学校に入学させていた子息を呼び寄せたのだ。
更にはその子息を自らが統治するとある領地を一帯とした軍隊の主導者――いわゆる『師団長』に任命したのである。
しかし彼は『師団長』に着任した途端建国から着いていた部隊長や将軍を次々に解任、揚句にはそれぞれの戦地に敵して創設された銃器や爆器部隊までも解体してしまったのである。
更にはその大規模な解体の理由が
「戦争に赴くのにわざわざ小部隊を創って何になる?それに私が着任の暁不平不満の元を絶ったまでだ」
と言うものだった
当然ながら師団長のこの傍若無人と言える振る舞いに多くの兵が不満や異議を唱えた。
しかしこの異言もまた一掃される事となる。
コメント0
関連動画0
ご意見・ご感想