指先
重ねて暖めるたび
冷えていくのはどうしてなの
無邪気に延ばされた手を
求めていたのは君じゃなくて私のほうだった
私はここにいる
いつも君のそばにいる
私の向こうに
ねぇ君は何をみてるの
気づかないで
終わりがくるということ
髪を
すくみたいにするりと
逃げていく君の意識を
留める術などなくて
大人びていく背中に
この恋の重さが静かに積もっていく
私はここにいる
いつでも君のそばにいる
だから試すように責めないで
ふたりを諦めないで
許されないだなんて言わないで
誰も知らないままでかまわない
縺れた糸をたぐりよせてもお互いにたどりつけないと知っていても
失いたくない
短くてもいい
私たちのこれから
今一時だけでもかまわない
君が私に飽きてしまうまで
その日がくるまで
そばに置いていてほしいの
君には好奇心の延長でも
私にはそれがすべてのはじまりで終わり
ただ時計の針が進むのを
うつろに眺めていた
君の背中越し
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