女「好きです」
　あーあ、言っちゃったよ。
　放課後、特にやる事もないから窓から見える中庭を見ていた。
　この中庭は告白以外に使っちゃいけないという暗黙ルールがあって、ある男の子がここに来た時、びっくりした。
　あれ、レン君じゃん！
　同じように教室で暇そうにしてたＧＵＭＩちゃんと下をのぞく。
グ「あ、レン君じゃん」
ミ「レン君モテるんだね」
グ「へえ」
　やがて女の子がやってきて、遅れてごめんとかなんとか言ってから、
女「好きです」
　って言った。
　あーあ、言っちゃったよ。
　他のところのレン君だったら優しい言葉をかけられただろうに、うちのところのレン君は冷たいからなあ。なんか傷つくようなこと言わなければいいけど。
レ「ごめんね」
　それだけかい。
女「ううん、私が勝手に告白したのがいけなかったから」
レ「俺、好きな子いるから。だから、ごめん」
　お、レン君にしては気の利いた事言うじゃん。
女「それってリンちゃん？　お姉さんだよね？」
　ぶっ、とＧＵＭＩちゃんが飲んでいたお茶を吹く。
グ「周囲にバレてんの？　ヤバくない？　いやでもそれって意外と萌える……」
ミ「何言ってんの！　萌えるって何が？　リンちゃんとレン君はもともとそういう仲だよ、うちのところは」
　ＧＵＭＩちゃんが妄想をし始める。
レ「なんで？」
女「そういう風に見えるもん。レン君はリンちゃんが大好きで、リンちゃんもレン君が大好きなんだなって、分かるよ」
レ「……」
女「私、ずっとレン君の事見てた。だから、リンちゃんの事が好きな事くらい分かったよ。レン君、結構分かりやすいもん」
　うわ、恥ずかしいセリフよく言えるな。クオ君みたいにさらっと言っちゃう（『七夕といえば短冊で(ry』参照）。
女「じゃあね」
レ「うん」
　うんってなんだようんって。
グ「私も告白されたい～」
　妄想をやめたＧＵＭＩちゃんが突然言ったので、びっくりした。
ミ「……なんで？」
グ「ミクちゃんはされた事あるんだよねえ」
ミ「人並みには……」
グ「私ね、中庭に呼び出されて、大勢の人から好きです！　って言われんのが夢なんだ。男女関係なく」
ミ「あ、そう……」
　男女関係なく。同性愛でもいいって思ってるＧＵＭＩちゃんの言いそうな事だ。
リ「レンー！　一緒に帰ろー！」
　下の階でリンちゃんが頭を出して中庭にいるレン君に言っているのが見えた。
　もしかしてリンちゃん、見てたのかな？
　ＧＵＭＩちゃんはそれを食い入るように見つめてる。
　たぶん妄想してるな。
レ「リン……と、ミク姉とＧＵＭＩ？」
グ「やっほー！　アツいねえお二人さん！　あ、ミクちゃん、こういうのバカップルっていうんじゃない？　一目も気にせずいちゃいちゃと(ry」
ミ「えと……ごめんね！　二人で帰ってねー！　ばいばーい！」
リ「え、ちょ、ミク姉とＧＵＭＩちゃんいたの？　いつから？」
グ「うーんと、レン君が告られた時かｒ(ry」
　急いでＧＵＭＩちゃんの口をふさいだけど、遅かった。
レ「そこから見てたのかよ」
リ「え？　レン、どゆこと！　ねえ！」
グ「うわ、痴話げんかだ。萌えｒ(ry」
　萌える萌えるとうるさいＧＵＭＩちゃんを引っ張って、家に帰った。

　帰ってきたレン君の身に傷とかなくてホッとした。
　ただ、ご飯を食べてる時にリンちゃんがこう言ったのはびっくりした。
リ「私とレン、将来結婚するから！　私きれいなドレス着たいから、お金よろしくね！」
　お金ってところがリンちゃんらしくて笑えるなあ。
　隣で顔を赤くしてるレン君。告白された時より照れてるなんて。

　私もクオ君と結婚の約束しちゃおうっと！