#1「帰郷」
僕は首都から遠く離れた辺境の村にやってきた
そして、【久しぶりに】あの孤児院の前に立っている
僕は深く深呼吸すると、意を決して玄関のドアに手をかけた
「たっ…ただいま」
この言葉を久しく使っていなかったためか、ひどく緊張していた
「あら?どちら様かしら」
そう言って近づいてきた初老の修道服の女性からは、懐かしい感じがした
「シスター!ただいま」
僕が笑顔でそういうと、その初老の女性は不思議そうな顔をした後、はっとして笑顔になった
「えっ、あら?もしかして、あなた…カイト君なの?」
「はい!」
シスターはものすごく驚いていた
それもそうだろう……なんせここに来るのは八年ぶりなのだから
僕は物心ついたころには、この孤児院でお世話になっていた
孤児院のシスターの話によると、ある朝に孤児院の前に置き手紙と共に僕は置かれていたらしい
信じられないことに、僕は親に捨てられたのだ
しかし、僕は顔も知らない親を怨むつもりはない
むしろ、この孤児院でシスターや義兄弟たちに囲まれて生活できて、幸せだと感じていた
「シスター、ご無沙汰しておりました」
「もう……こんなに立派になって…」
シスターは僕を隅々眺めると、目をうるわせて見つめていた
「シスター、僕は今日からからこの村の常任医師になりました」
「えっ?!それじゃ、今日いらっしゃる新しいお医者様っていうのはカイト君のことだったのね。」
シスターはさらに驚いた様子で僕を見た
「そう…それじゃ、カイト君のお医者様になるっていう夢は叶ったのね」
シスターはすでに号泣だった
そう、僕が八年間も孤児院を離れていた理由は、首都で医学を学ぶためであった
「僕はこの孤児院やシスターに育ててもらったことを本当に感謝しています。その恩返しとでもいいましょうか………僕もこの孤児院のために協力したく、戻ってまいりました。」
「そうですか…カイト君…ありがとう」
シスターは涙が止まらない様子だった
僕はハンカチを差し出した
その時、僕の脚に痛みが走った
「いたっ!」
足下を見ると、そこには少年がいて、僕の脚を蹴り飛ばしていた。
「このっ!シスターを泣かせるな!シスターから離れろバカ野郎!」
なんだ、このくそガキは…と思ったが、シスターの前でそんなことをいうわけにもいかない
「あっ!レン君!やめなさい!この人は私をいじめているのではないのですよ。私が泣いているのは嬉しいからなのです。」
そういって、シスターはレンという少年を取り押さえた
「カイト君、ごめんなさいね。この子はカイト君が出て行った直後にここに来たのよ。」
そう言えば、僕がいたころに比べて、内装も新しくなっている
義兄弟たちも全く知らない奴もだらけだ
「ささ、カイト君、こんな玄関先じゃなくて、あちらでお茶にしましょう。」
シスターはそう言うと奥に入っていった
僕もその後に続いた
ふと、横に目をやるとレンという少年が僕を睨みつけている
シスターを泣かせた悪い奴という印象が彼の中で出来てしまったようだった
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もっと見る#4-1「みんな!飲むわよ!」
ある休日前日の夜中、子供たちとルカが自室でベッドにもぐったころ
「さぁ!今日も飲むわよ~!!」
メイコは手に持っていた酒瓶をテーブルの上にドンと乱暴に置いた
「は!はいぃぃ。」
ハクはビクッと驚き、少し涙目になりながら返事をした
「メイコ殿、一つよろしいでござるか?」...みんなでボーカロイド観察(仮)#4-1
しるる
#4-3「悩みはみんなもっている」
「ったく!男どもはなさけないんだから!」
カイトはエビ固めを決められ、そのまま気絶した
「…そうですねぇ」
ハクはお酒を水のように流し込む
しかし、彼女は少し頬が赤らむ程度で意識もはっきりとしており、到底2升も飲んだ人には見えない
「ねぇ、ハク。」
「え?…はい?...みんなでボーカロイド観察(仮)#4-3
しるる
#3「成長」
僕は村の人が用意してくれた小さな空き家を利用して診療所を開設した
正直、医師としての経験がまだまだ浅い僕だったが、それでも精一杯やることをやった
そして、僕がここに来て二カ月が過ぎ、仕事にも少しずつ慣れてきたころだった
診療所が休みの日
僕は孤児院の廊下にあるベランダに出て外を眺めてい...妖精の毒#3
しるる
#5-1「みんなで手分けして」
ある日の昼下がり
「みんな、ちょっと下のリビングに集まって」
という、メイコの声が下の階から聞こえた
そしてみんなが、なんだなんだといった具合にリビングに集まった
「今日、この寮に新しい子が来ることになってるの」
「えええぇぇ!」
メイコの発言にみんな驚いた
「私たち...みんなでボーカロイド観察(仮)#5-1
しるる
#5-3「みんなにもアイスを」
買い出し班:カイト、ハク
2人は近くのスーパーにきていた
「ねぇ、ハクさんはどのアイスが好き?」
「…え?」
「やっぱり、歓迎会にはアイスは必須でしょ!バニラ?チョコ?抹茶?ミント?」
「え、あの…カイトさん…」
ハクは歯切れ悪く呼びかける
「ん?なに?…あぁ!そうか...みんなでボーカロイド観察(仮)#5-3
しるる
#3-4「みんなに広まる秘密」
寮のリビング
「う…うーん…」
「あ、がくぽさん気が付きましたか?」
がくぽは意識がはっきりしない中、目の前にピンク色の髪をした女性がいることに気がついた
「ルカ…どの?」
そして、次の瞬間には驚いたようにがばっと起き上がった
「ルルルルル…ルカ殿!拙者のために…そそ...みんなでボーカロイド観察(仮)#3-4
しるる
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ご意見・ご感想
中野めけ。
ご意見・ご感想
ちょっと幼めのレンきゅんを想像して顔がにやけちゃうww
カイト兄さんいつの間にかお医者さんになったのね・・・(自分の中ではバカイトとしてしか見てなかったww)
これからの展開がすごく楽しみ!!
2014/03/21 11:29:51
しるる
ねー、これ、幼く見えるんだよなー
けど、実は年齢は14確定だった気がします
最初で性格安定してない結果だと思います←
兄さんをオチだけに使うのではもったいない
2014/03/21 19:51:56
kafee
ご意見・ご感想
初めてメッセージさせていただきます
兄さんがお医者様ですと!?白衣の兄さんを妄想して2828が止まらn(ry
続きが楽しみですーー!!
2012/05/27 23:13:13
しるる
そうか……これを投稿したのって、五月の終わりだったのか……
もう九月だなぁ……
……6、7、8、9
もうそろそろ3カ月半になるなぁ……そりゃ、ながいわwww
2012/09/08 21:45:22
Nonbendarary
その他
おおおおお兄さま医者ですか!
新鮮だなぁ……。
うちの保育士兄さんはちょっと停滞気味…どーしよw
2012/05/27 13:35:24
しるる
あれ?新鮮ですか?w
私個人的には、結構ハマり役だとおもってたんですけどww
2012/05/27 22:41:10
イズミ草
ご意見・ご感想
カイトがとっても爽やかな好青年に見える…ww
否、そうなんだがww
修道院?って設定面白いですね。
カイトが主役っていうのも
私にとっては新鮮だ…!
2012/05/26 22:11:47
しるる
今回のカイトは真面目な大人の青年を目指しますw
修道院が経営してる孤児院なのでしょうねww
その辺はあまり考えてなかったです
今後、チャンスがあれば、ちゃんと記述したいですw
2012/05/26 23:38:35