削る花咲かぬ桜の
蜜はとめどなく溢れて
油香らせる梓巫女
その影は猫を象(かたど)る


闇を裂いて牙が閃き
命散るごとに尾は割れた
ただ 心すらも巻き添えに


人の温もりが好きだった
包む愛が心地よかった
ただ 七年(しちねん)しか続かずに


「お前に人は殺させぬ」
首を泣きながら絞(しぼ)られ
訳も分からずに立てる爪
愛しい家族引き裂いた


後は火をつける如くに
この身は化け猫となりて
恐れに身を任せ続けた
一人の巫女と出会うまで


闇を裂いて弓の音(ね)立てる
穢れ澱む地が清められ
ゆら 暴き出した猫叉が


涙浮かべ身を竦(すく)ませて
己(おの)が慚愧に震えている
ゆら 人の身を象って


「何故にそんなにも嘆くのか」
首をかしげつつ投げかける
「殺すは性(さが)ではないのか」と
漏れる嗚咽にて答えられ


旅に疲れたる心に
涕泣(ていきゅう)は深く染み渡り
遠き思い出が重なって
愛しさすらもこみ上げた


「猫よお前の罪は
弓を引き清めよう
ただし日に一度だけ
百八までつきあえよ」


闇は日に日に晴らされる
終わり定められた二人
共にある様は睦まじく
募る思いは揺蕩(たゆた)った


人の代わりにやる油
いつしか匂いも移って
人に呼ばれるは油巫女
染み付く思いは梓に


今日が最期の日となろう
二人寄り添い空を見る
かける言葉など選べずに
笑いあって弓を引いた


ゆらりゆらり薄れる影
ふわりふわり笑いながら
百八などとうにこえてた
震える心は梓に

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

【応募用歌詞】 油巫女【修正決定(未)】

ぱぴさん 様の情緒あふれ感じ入らさせる素敵な曲にあてさせていただいた歌詞となります。

http://piapro.jp/t/39LJ

泣きました。初めてメロディだけで泣きました。
昼に何か創作しようと軽い気持ちで再生をしたら涙が止まらず、何度再生してもそれは変わらなくて、午後九時まで延々と滂沱しながら作詞作業を行なっていました。

もう全然作業が進まないというのに、まるで苦痛ではなく、成し遂げなければならないという使命すら感じてかかせていただいた所存です。

こんなの絶対おかしいよ!/人;ω;人\ (←泣きすぎで目が真っ赤

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用語メモ

梓:別名、水目桜。材質として極めて桜と似ているが、花を咲かせない。
強靭でしなやかなので、建材や弓の材料として重宝されている。

梓弓:梓で出来た弓。矢をつがえずに鳴らす鳴弦という退魔法がある。

梓巫女:特定の神社に所属せず、各地を渡り歩く巫女。呪文を唱えながら梓弓を打ち鳴らし降霊を行い、その霊に仮託して託宣や術を使った。

猫叉:猫が化けたもの。仙狸とも。一説によれば、「”七年飼った猫は飼い主を殺す”という言い伝えがあり、そのため酷い方法で殺害された猫がばけたもの」であるらしい。

油:昔の日本はタンパク質等がとりずらく、肉食である猫はこれを舐めて補ったとか。猫が燭台の油を舐める様は不気味なので、怪異の前兆としたらしい。

百八:煩悩の数。
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解説、解釈ストーリーも書きたいけど文字数足りないぞ……。ってか採用される前に書こうとしている時点で異常事態だどういうことなの!
曲が良すぎる!


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修正箇所

・難解な文。見てくださった人にこそ気持ちを伝えられるよう、より平易を心がける。

閲覧数:171

投稿日:2011/11/05 23:29:41

文字数:646文字

カテゴリ:歌詞

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