律音家と並音家がいつからお隣同士なのか、私はよく知らない。ただ、私の一番古い記憶にはもうメイコさんやカイトさん、それにミクなんかが当たり前にいたから、たぶんメイコさんが生まれる前とかから、もうお隣さんだったのではないか、と私は勝手に思っている。

 ただいくら隣だからとは言え、毎日毎食、両家の全員が片方の家に集まってご飯を共にするというお隣さんは、他に滅多にないのではないだろうか。勿論、私達だって最初からそんな状態だったわけではない。これにはちゃんと理由がある。


 まず、メイコさんやカイトさん達の律音家は、現在両親がいらっしゃらない。ちょうど末っ子のリンが小学生にあがるという年に、交通事故にあって亡くなったのだ。

 流石にご両親が一度に亡くなられたのもあって、親戚の人には「家を売り払ってウチにおいで」と勧められた。だが当時高校生だったメイコさんが「妹や弟のためにも、私が高卒で働くからずっとこの家に住ませて欲しい」と親戚一同を説得。最初は難航した説得も、やがてメイコさんの頑固さに負けて親戚全員頷くに到ったらしい(カイトさんが話してくれた)。


 対する並音家も、母親は既に他界している。元々病弱な体だったようだが、レンの出産の際に持病が悪化してしまったらしい。

 それからは父が男手一つで私達3人を育ててくれていた。ただ母が生きていた頃から律音家とは仲の良いお隣さんだったから、父は律音家の子供達も自分の子供のように接していたことを覚えている。特に、まだ幼かったレンは、自分よりリンやミクに甘い父に何度拗ねた事か。そのため、昔から律音家+並音家で食事を共にすることは多かったのだ。

 だが、その父のイギリスへの転勤が決まったのが6年前。最初は一緒にイギリスに行かないかと誘われたのだが、ルカ姉さんは日本での高校進学をもう決めていたし、私もレンも日本を離れることが怖かった。そこで家族会議を開いた結果、子供達だけ日本に残ることになったのだ。

 しかし、そこで父が2つばかり提案を出した。それは、律音家の人達とちゃんと仲良くやる事、そしてメイコさん達4人も私達3人も、誰一人体を壊さずにきちんとした生活を送る事だった。

 そして、その父の提案を受け、メイコさん・カイトさん・ルカ姉さんの3人で協議した結果、現在のような食事習慣が出来上がったのである。やはり食事は大勢で食べた方が美味しいし、それに、食材は一気に買って一気に消費した方が結果的に食費は安く抑えられる。それが、年長者3人の下した判断だった。


 また、食事以外にも律音家と並音家が協力することは度々あった。例えば、律音家のミクが学校で熱を出して早退することになれば、その日たまたま学校が休みだったルカ姉さんが迎えに行ったり。例えば、並音家の私がバイトで夜遅くなる時は、カイトさんがバイト先まで迎えに来てくれたり。例えば、テスト期間ともなれば、律音家での食事の後、全員がリビングに集合して勉強を教えあったり。

 こうして、私達並音家とメイコさん達律音家は、互いに協力し合いながら生活をしている。おそらく普通のお隣さんの関係とはちょっと違うけど、でも何だか兄弟姉妹が沢山いるみたいで私は今の環境が好きだ。そして、それはきっと他の6人も同じだと思っている。



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seaoid,skyoid.2

何でこんなに両家は仲が良いのか編。
嗚呼、大好きなカイトが全然出てこない…。

閲覧数:130

投稿日:2009/12/17 00:36:05

文字数:1,378文字

カテゴリ:小説

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