作品一覧
その他
オンガク
「これが私の運命なのです」 自らの手で喉に突き立てた小刀から赤い雫が零れ落ちていく。私は笑った。それから祈った。どうか地獄に落ちる前に、ほんのひと時あの人に会えますように。 目を閉じる間際、転がった雫が私の肌の上で椿のように咲くのを見た。 私の母は良家の娘だった。駆け落ちをして、戻ってきたとき...
かぐやの幻