タグ「AKAITO」のついた投稿作品一覧(7)
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クロックと打ち合わせののち、『工房』でスタンバイしていると、壊しそうな勢いでドアが開く。
青ざめた顔の、帯人だ。
酷い格好だった。
何があったのか眼帯は外れ、カッターシャツの背中は無数に引き裂けて血が滲んでいる。
「おじ、さん・・・。」
ふらふらと覚束ない足取りの帯人の肩を、クロックが支えてソファー...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 11 『Porta』
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「うんうん、いい具合に動揺してくれるね。では、もうひとつ基盤を外してあげよう。君は『東の黒き魔女』・・・わたしの愛娘の、『使い魔』だったわけだが・・・・・・。」
黒緑の深淵が一瞬そらされ、アカイトを見た。
「『アカイト』、『ここに来て』、『跪きなさい』。」
不思議な響きの声音で、命じる。
踏みつけら...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 10 『Zoologia』
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それは、僕が人気のない夜の中を彷徨い歩いていたときに現れた。
「いよぅ、兄弟。」
唐突に、目の前に現れた赤色。
赤色のあいつ、黒色の僕。
背の高いあいつ、あまり高い方ではない僕。
にやにや笑うあいつ、驚愕を貼り付けた僕。
奇妙な鏡を間に挟んだように、対峙する。
あるいは、言われたとおりの『兄弟』、か...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 9 『Oliva』
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一度部屋を出たアカイトが手に持っているものを見て、声を失った。
思わず『どこの皮膚科から盗ってきた?』と言いたくなるくらいの、ゴツくて重そうな・・・。
「それは・・・なんだ?」
勿論、私はそれが何かは知っているし、用途も知っている。
ただ、認めたくない一心で喉から引きつった声を絞り出した。
「んー・...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 8 『Orecchino』
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憔悴しきった帯人の顔を見て思った。
凛歌お前、こうなるのをわかってなかったのか?
警察からの連絡で、職場近くで凛歌の通勤用のリュックが発見された。
中身が散乱し、財布やパスケースもそのままであったことから、警察では事件性ありと見て捜索を開始したそうだ。
これは、朗報だった。
成人の失踪者はまず、自分...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 7 『Homunculus』
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息苦しさで目を覚ますと、石造りであるらしき、小さな薄暗い部屋だった。
息苦しいのは、猿轡を噛まされているせいだ。
口の中に、猿轡とは別に、細い金属の鎖のような感触がする。
体の動きを抑制されていることに気付き、見下ろすと、野暮ったいワンピースに似た拘束服を着せられているらしかった。
胸の上下を走るベ...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 5 『Gabbia uccello』
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「・・・・・・なんてね。」
ひょい、とデリンジャーを持ったまま、両手を軽く挙げ、肩をすくめて見せる。
「あんたがこんなオモチャで傷ひとつ負わないのは百も承知。今のは弟子から師匠へ、もしくは娘から父親への少々過激な再会の挨拶とでも思って。」
「どうだろうね。お前は、油断がならない。」
無傷でその場に立...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 4 『Rosso』