お松 オケ
(以下は歌詞です)
猫目の女が赤を纏えば
泣く子も黙る丑三つもさらに怖かろう
皿を三枚用意しなんせ
両目を乗せてもう一つ指を供えにゃ死ぬぞ
ひたりひたり
一つ二つ
くらりくらり
三つ四つ
十まで数える声の主は
お松
小癪な猫娘じゃ
生き血を喰らう妖
それが奴の正体よ
来るぞ 来るぞ
奴めが来るぞ
息を殺して潜め
瞬きはしてはならん
ならん
決してならん
さすれば三枚の皿を抱え込み
貪り終えば奴もやがて帰るじゃろう
目を抉るのが怖いと云うなら
何処ぞの誰かの目を取り供えるが良かろう
指落とすのが痛いと云うなら
其処遊ぶ童っぱの指を代わりに削げば良かろう
ひたりひたり
六つ七つ
くらりくらり
八つ九つ
数えが終わればやって来るぞ
お松
孕む侠気の唱を
鳴くように歌う有様は
この世のものとは思えぬわ
来やる 来やる
奴めは来やる
丑三つからの十の後
お前を喰らいに其処に
其処に
すぐ其処に
目が合ったとて
恐れ視線を逸らさんな
隙を見せたら最後
とって喰われるぞ
お松
小癪な猫娘じゃ
生き血を喰らう妖
それが奴の正体よ
来るぞ 来るぞ
奴めが来るぞ
息を殺して潜め
瞬きしてはならんと云うたろうが
死ぬぞ 死ぬぞ
お前は死ぬぞ
両目も指も供えたが
目を逸らしてしもうた
駄目じゃ
もう駄目じゃ
生きたまま目を喰われ
次に指を喰い
腸も喰いながら奴は笑うじゃろう
はてさて御噺は
ここまでとしよう
この唄が終わったらお前の後ろにも
居るぞ