十六夜祭り
詞曲編: murasaky
下町の賑わいから少し外れた河川敷
華やぐ店々と裏腹にたたずむ蛍の光よ
水面を這う桜の花 離れた人の声
野立傘の端から見た江戸の月が笑ってゐる
光る星の瞬きにも 夏風が攫う緑の葉も
一人夜の酒の肴にお誂え向き 十六夜祭り
涼しげに提げた袖の 乙女が手を引かれて往く
夏の香りを放ちながら 一二の三で舞う姿
浮世の果て 恋路の果て 行く先を見たとき
散るか散らぬか 諸行無常 江戸の町が笑ってゐる
燃ゆる紅に染まる木々も 一面白座敷の冬にも
一人寝の涙枕にお誂え向き 十六夜祭り
夜が更けるままに夢に酔って
時を止めて 現を抜かしても憂き世
虫の声も夜に融けて山の賑わいと化す
ひらりひらりと散るだけでは面白くないじゃないか
伝う汗が乾くまではこの杯も渇きはしない
空が白んだと見紛う大輪の花 十六夜花火
一二三四 五六七八(ひふみよいむなや)
一二三四 五六七八(ひふみよいむなや)