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黄昏に舞い散る花びらの中を

johannes_maria_t

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作詞 花田秀彦
作曲 Johannes.Maria.T


黄昏に舞い散る花びらの中を


初夏近い 駅のホームで
見送りに きてくれた友は
ぎこちない 夜間クラスの
優しさで無邪気に舞っている

10人と ほんの少しで
祝い合う 卒業式は
毎日を 生きる姿をしたまま

土の汚れも 赤子のにおいも
老いた肌も誇りにしていた

黄昏の 同じホームで
かあさんも 旅立っていった
ちっぽけな ぼくと妹の
嗚咽を払いのけるように

あれ以来 背負い続けてる
憧れも 孤独でさえも
どの場所で 誰といても 果てなく

せかされたまま いつでも叫びと
悔しさの中にいた


僕は今 この場所を出て行く
吹っ切れたように 桜並木を
吹きすさぶ 春風のように

あの人と 僕は違うから
それぞれに向かう 輝きの中で
いつまでも 手を振り つづけるだろう


だけど 捨て去ることなど できやしない
きっと皆 引きずって歩いてゆくんだ


舞い散る 花びらの中を



色あせた六畳一間 
板張りの台所に越した
猛暑がやみそうにない
夏の夜は誰もが無口になり

遅すぎる夕食を終え
泥のように父親は眠り
妹の食器を洗う音の中
むせび泣くように開け放った窓の
向こうへと口笛を吹いていた

アパートの鉄の階段を
誰かが昇ってくる音が
部屋の前を横切るたびに
一人眠りにつけない夜は

向かいの店のケバく光っている
呼び込みのネオンの下で
母親気取りのお姉さんたちが
「男」について酒の臭いと
煙草の煙の中語ってくれた


卒業は ここからの旅立ちは
くりかえす日々に追い越してしまった
父の背の高さのように

ぬりかわる季節の狭間で
気づかないうちに手にしてしまった
遠くへの新しい思いだろう


求めてばかりだった日々は今もまだ
この胸を黄昏に染めているのに
デッキに立つのは強がりなんかじゃない


僕は今 この街を出て行く
吹っ切れたように 桜並木を
吹きすさぶ 春風のように

閉まりゆく 扉の中から
それぞれに向かう 輝きの中で
いつまでも手を振りつづけていた


透明な無数の約束と青い誓い
僕は皆 引きずって歩いてゆこう



今日は黄昏に舞い散る花びらの中を