貯水槽の亡霊
貯水槽に佇む亡霊は
今日も僕に向かって話し始めた
この世では 他人を感じ過ぎるなって
濁るの。 他人ので。
感情に呑まれて したい事もしたい事か
なにもかも うるさくって
なんにもかもわからなくって
靴底に水面が
吸い寄せられていくそうして
貯水槽に溶け込むのさ
そうさ、俺もお前も
貯水槽に佇む亡霊は
今日も僕に向かって話し始めるだろう
真実を夕闇に隠しながら
掃き溜めにどうしようもなく
縋り付くこいつはなんだ
僕は誰と話していたんだ
そうさ、僕は一人だ
疑って生きてきたよ
他人ばかり恨んできた
この身体に纏わり付く
亡霊は 紛れもなく
僕自身だ