春に死ぬ オケ
【春に死ぬ】
柊、枯りゃる春来やる
椿が蕾憂いやる
さて無情の闇は揺れやんて
無防備な朝を迎えようて
雪月花を謳う詩人など
巡りゃる節をなぞるだけ
愚問と云えば其れまでと
不実な声に眠うなろう
所詮は夢
嘆く如し
雨を選(よ)けて
得る成など
在りはせぬと
いや、或いは芽吹くとは之か
咲き乱れ
お前が纏う予感
降り積もる日々の如し
枯れやんせ
お前に止まる蝶を
彩れば夜は明けよう
はてさて狂言かの様な
嘘など此処には在りゃせんし
奏でや
一輪の余情を
唱えや
さも知らぬかの様に
眩むばかりの戯言
朧気な謀(はかりごと)
落ちて鳴くは誰が為
お前の生だろう
咲き誇れ
お前を孕む声は
戻りゃせん時の霞み
果てやんせ
見事に散るが良かろう
ひらひらり
知らぬ顔で
戸惑うて嘆くだけならいっそ
変わりゆく日々を忘れ
色の無い冬を知らぬお前が
今此処で描くのは何ぞ
咲き乱れ
お前が纏う予感
降り積もる日々の如し
枯れやんせ
お前に止まる蝶を
彩れば夜は明けよう
咲き誇れ
お前が揺れる姿は
春の日を散らしていくだろう