romeo y julieta
月光は条例に基づいて 八時過ぎに門限を告げた
昨今は結構な確率で ヒトが仮初に迷い込むと云うが
強ち、それは間違いじゃなかった。
白光は手折やかに青白く 錯視を誘って点滅
活発な虚構を飾り立て まるでそれに手が届くような風で
幕を引くにはいい夜だった。
このまま君を抱いて深く潜り呼吸を忘れて
やがて在り来たりな物語の一部に消えよう
君は綺麗だった。震えながら微笑み続けた
滲む画面越しに見詰め合って愛は加速してゆく。
綺麗な言葉が空回り フラフラフラと通り過ぎてった
奇抜な言葉が仇になり何一つも伝えられないまま
夜は更け、窓は開き、結末は台本のままに。
指先君をなぞり感情野が錆び付いて軋む
それは造作もない、脳が見せた甘美な幻。
君が綺麗だから、震えながら僕は泣いていた
濡れた画面越しの物語は終わりへと突き進む。
寄る辺ないこの心に突き刺され、君の影
ただ、頼りないただの数列を魅入られたように恋い慕った。
それだけで僕は幸福で居て、謂れのない安堵に包まれた
後ろ指を指す他人も居たけどそんなことはどうでもよかった
ただ、頼りないただの数列を魅入られたように恋い慕った。
それだけの、ただそれだけの。
小さな恋は君と始まり、音も立てずに息を止めた。