芙蓉
「芙蓉」
作曲 マチゲリータ
作詞 マチゲリータ
無垢な男は地面をなぞり 惨めな蟻をひとつ潰して
嗤いながらひとつふたつ潰しては、また嗤った
蛆虫達が彼の腕を這って 指の先から蚯蚓が足を出す
蝉が鳴き止まない 花が芽を出す
口が開いた
「ごゆるりと」
赤く花が咲き乱れる 痛い程に涙を流して
ひとつふたつ潰えてゆく
「あの惨めな蟻の様」
だと嗤う
揺れる視界にへばりつく 蝉の声が耳から離れず
暑い季節に壊された 脆く綺麗な崩れゆく芙蓉よ
銀の翅を広げた蟲 花の許へ舞い降りてゆく
鈍い色の音色をした 蟲の声を聞きながら
白日の下 曝された 凌辱と欲望の最期に
残されたのはただ一つ 苦く、吐き気のするこの恋心
燃える太陽 深々と 水面に沈んでもなお燃える
生温い風 生暖かい水と 冷たい花の横顔
悲しみさえも感じない 痛みは深い傷の底
すべての後、残ったのは
枯れきった一輪の花