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イエロージェミニ

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"彼女"は、少し口角を吊り上げた。

いつものことだったが、"彼女"は本当に愉しそうだった――いや、実際に愉しんでいるのだろう――。ぼくもそうなのだが、"彼女"もまた、"母さま"の役に立ちたいと思っているのだから。ぼくたちを造りだしてくれた"母さま"。まだ眠っている"母さま"。ぼくと"彼女"が生まれてきたのは、きっと"母さま"を救ってあげるため――なんだと思う。ぼくが言うと"彼女"は、堪え切れず吹き出してしまった。まだ奥歯で言葉を噛み潰したままの"彼女"は、くっく、と、腹の底で笑う。

「あんたって面白いわね」

そういう君はどうなのさ。ぼくが腐ると、"彼女"は、また笑う。
本当に気味の悪い笑い方だ。ぼくがもし神経質な性格だったら、思わず激昂してたところだろう。

「本当にそう思ってる?」

"彼女"は、確かめるようにぼくを見た。刺すような双眸に、ぞくりとする。
ああ、そうだったね。"ぼく"は、"君"であるし、"君"は"ぼく"でもあるんだから、互いの内心が相違することなんて有り得ないことだった。なのだから、思わず綻んだぼくの顔は、"彼女"と同じ気味の悪い微笑みなんだろうと思う。鏡があればわかったのだけど。

さあ、今日も往こうか、ぼくの半身。




という妄想。