「ヤドヴィガの寝室」 inst
ほのあまい季節の晴れた朝に
ガラス花瓶の底が光で濡れた
取り残された真白な月も
青さをより飾る、空に映えた
「綺麗なものほど触れられない」と
若い日の恋がそうであったように
話す声には安らかな愛おしさと
指先には柔らかな肌の鼓動
分かり合えたつもりでいたのに
瞳の奥、わからないことばかり
「全てをこのまま笑っていたい」と
振り返る過去が無い子供のように
ただ、それだけでいいのに
私はあなたを、あなたは私を忘れ
鮮やかに咲いた日々も枯れてしまう花だと
そうして、なにもかも思い残すだけなのに
言葉だけでは頼りない
まだ腕の中、眠らせて
木々達が風に葉を散らしていたこと
緑が消えた頃になってやっと気づくの
もしも私が秘密を持ったとしても
それはただ、美しく生きようとしただけ
このまま思い出になってしまわないように
私はあなたを、あなたは私を見つめ
歌う恋に涙の詩を綴る時が来るのだろう
そうして、なにもかも思い残すだけだとしても
まだ今は夢の中
お願い、どうか
覚めないで