最終到達者
とあるエンディングを迎えた、主人公のお話。
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世界を埋め尽くしたガラクタを 噛まずに全て飲みこんだ
伝えたい言葉 ぼくの想いも
言えずに全て飲みこんだ
夏草に霞む夢の跡も
残さずに総て飲みこんだ
役目を果たし終わった僕と
消え去った君はどっちが幸せなんだろ?
最高で最善の最終回に辿りついた
頑丈で堅牢なこの箱に棲む僕は
残り僅かな記憶を掻き寄せて
いつか迎える飢えにずっと怯えてるんだ
宝箱の中のガラクタを
必死で集めて飲み込んだ
父母の写真 友の便り
優しい残骸を飲みこんだ
ピリオドの先にある空虚が
僕の内側を融かして犯して蝕んでいく 嗚呼!
捨てられずにいた最初の夢が
君の息の根をとめたんだ
吐き捨てるほどの無数の僕が
僕の行き様をきめたんだ
知らない世界も新しい僕も
全部全部消えたんだ
この箱の中で咀嚼を忘れて
僕を埋め尽くした君の跡 噛み締めて全部飲みこんだ
最適で最悪の最終回に辿り着いた
退屈で偏屈なこの箱に棲む僕は
描かれる事の無い記憶を掻き寄せて
行間の隙間の自分をずっと探してる
最高で最善の最終回に辿り着いた
終末も再開も叶わない箱庭は
新しい始まりの芽を食い潰しながら
とっくに迎えた飢えにずっと怯えてるんだ
世界を埋め尽くしたガラクタを 噛まずに総て飲みこんだ