タグ:深海のメモリー
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「へえーじゃ、そのお友達のおかげで、今日ここに来てくれることになったってわけなんだね。それは感謝しないといけないなぁ。」
雑談すること30分余り。話し始めると意外と話のネタがあることに気づいて、初対面ではあったがそう気まずくなることなく時間を過ごすことができた。それに、沙羅はそんなにおしゃべりな方...深海のメモリー ~2. 冷凍処理された音色(後)~
翼翠
「商談入ったから、フロアよろしくね!」
店員について店の中に入ると、その男は近くにいた店内のスタッフにそう声をかけてから奥に続く別室へと沙羅を案内した。どうもただの店員にしては軽い印象の人物だとは思ったが、どうやらこの男はここの店長らしい。アンドロイドというのは新しい分野のため、若い世代が突出して...深海のメモリー ~2. 冷凍処理された音色(中)~
翼翠
「善は急げといいますし。」
一人暮らしをしているといつの間にか独り言が多くなってくるというのは本当のことらしい。いつの間にか声に出していることがあるな…と思いながら、最後の仕上げにコートを着込む。玄関につながる廊下へ出ながら指に鍵を引っ掛けて、短い廊下を数歩で抜けてブーツに足を差し込む。誰と約束を...深海のメモリー ~2. 冷凍処理された音色(前)~
翼翠
「ところで真優。本人がいるところでいうことでもないけどさ…ボーカロイドって高いじゃない。そんなお金、持ってたのね。」
「うっ…ほ、ほんとに本人がいるところでする話しじゃないわね!」
KAITOの歌唱で場の空気が変わったためか、真優のマシンガントークも一旦鎮まったのをきっかけにずっと気になっていたこ...深海のメモリー ~1.海色のアンドロイド(後)~
翼翠
「沙羅さま、ですね? いらっしゃいませ」
そう言って優しく微笑む青年の姿をぼんやりと眺めながら、彼女……鈴鹿沙羅(すずか さら)は内心なるほど、と納得していた。どこにでもあるような平凡なマンションだ。当然、建てつけてある扉だって、飾り気のない…といえばまだ聞こえはいいが、実際は味気ないデザインのも...深海のメモリー ~1.海色のアンドロイド(前)~
翼翠