風月　諒

「そうだっっ！！！」
　レンは勢い良く立ち上がった。
　その直後にリンも飛び上がった、隣で突然の砲撃のような大声がしたもんだからドライヤーを落としたのだ。小指の上に。
「つっっ！　ぁぅぁぁう……　っ」
　涙を浮かべて悶え苦しむリンに気付かないまま、レンはおもむろに大学ノートを取り出す。
　幸いにして...

＜1番＞
君と歩く　通学路
眠気を誘う　教室に
騒がしい　グラウンド
声が溢れてる　音が溢れてる
愛が溢れてる　夢が溢れてる
まぜてみよう　溢れたものを
生まれるよ　すてきな歌が
学園で　歌おうよ　
学園で　笑おうよ...

「諸君、犬は好きか！　私は大好きだ！！」　（台詞）
（A）
犬になりたい　昔の夢を　（7,7）
大人になって　本気になった　（7,7）
犬と散歩で　世界一周　（7,7）
イラクあたりで　撃たれてもいい　（7,7）
　　
（B）
本気なんだぜ　ワンコが好きだ！　（7,7）
叫んでやるぞ　ワンコが好きだ...

リン：リンが好きならよっといでー
レン：レンが好きならよっといでー
レン：ぼくっらはー、美男美女です～
レン：ある意味最強
レン：ロリとショタだっから～
リン：ふたっごでー、歌手をしてます～
リン：仕様にご注意
レン：鼻声っていうな～
レン：おーとなはー、ウソつきばかりだ～
レン：姉さんの、化生見て...

となりのおうちに住んでいた
写真の中の男の子
窓から不法侵入して
遊び笑った　おさなじみ
違う道を生きたけど
わたしは変わってないよ
気まずい　顔して　それから
好きよと笑った...

バサリバサリと飛び立つ鳥を追いかけて
私も共に駆け出す
誰かが呼んでいるあの空を目掛けてく
ああ、空の歌また口ずさむ
雨が降ったら歌詞変え
ああ、町の中じゃなにも知れず
我慢できずに旅立つ
夢の中では楽勝な道でも息は切れてく
弱音吐く背を強かに叩くのは
イジワル、あなたの笑顔...

歌う　ふるさとのこの歌
故郷を知らぬ子を抱えて　
歌う　いつまでもこの歌
まだ来ぬ夜明けだけ求めて
響け堆く空へ　この子らの歌よ
例え全ての声が幻でも
荒ぶ　町を駆る風音
子供の笑う声かきけし
焼けた窓越しの青空
あの日の寒空に似ていた　　　　...

あなたと出合ったあの小道は
今では寂れたアスファルトで
忘れてた　悲しくて目を背けていたこと　
たとえばそう　ふたりで描いたあの夢
失った日は戻らない
ただ会いたい　いつかまた
伸ばした手は届かない
それでも私歌うよ　夢を
大好きだった……、あなたの言葉が　
いつだって消えなくて...

語りたい物語がある
描きたい人々がいる
そして歌いたい詩（うた）がある
何かを創りたい
そんな小さな気持ちが　大きな夢を創る
誰かに笑ってほしいと　キャンバスに託す夢の欠片
届けたい人に　その気持ちを形に
僕たちは描き　創り出す
それは翼
夢を描く手は　誰かに届くための翼...