いちのせ

ご機嫌を窺ったような指先
口唇を彩った　偽物の赤
カラン　溶ける　グラスの氷のよう
形を保つ　情のない愛
別れはネオンサイン
一夜だけの過ち　ただの火遊び
「あなたを待ってたの　最後の人
やっと出会えたの…」　なんてね
さよなら
夜に紛れ　息を溢してみる...

遠ざかる後姿が 真赤な傘を開いた
抱きしめた温もりを 雨が奪い去る
崩れ落ちた躰を
水溜りが受け止める
跳ね踊る滴は 刹那 形を無くす
空知らぬ雨
頬を伝いゆくは 雨
あの女（ひと）を失う今日など
要らなかった
傘を開く指 掴み 引き寄せたなら...

君が笑う理由を考えていた
隣にいるのが
例えば僕じゃない誰かだとしても
同じように笑いかける？
君は きっと
僕が笑う理由はたった一つ
君の側にいられるように
ずっと ずっといられるようにと
それだけを願いながら
空っぽの部屋で...

雨が降り始めたから外に出る
髪を濡らす最初の一滴
感じる間もなく 次々と
雨が降り始めたから外に出る
五感全て 雨色染まる
何も考えず 染みる 沁みる
空の涙 キミの涙
重なり映る 今泣いているの?
空が教えてくれているのなら…
何もできない私に...

いつもの様に目覚ましが鳴る
現実に連れ戻す 無機質音
ルーティン化された日常
嫌気差すのは 御手の物
重い足と瞼 引き連れ
駅へ向かう途中 見つけたのは
笑う マリーゴールド
なんだかボクはもう限界みたい
RUN AWAY! RUN AWAY!
逃げ出すんだ...

流れる涙に　星が映る
キラキラ　溢れていく
流星群
過去から探してきた
どんな場面より
美しすぎて　胸が痛んだ
今でも思い出せば苦しくて
歩けなくなってしまうんだ
そんなとき僕は
両手を胸に...

ふと思い出した
朝露の匂い
いつか君と見た景色を
薄ピンクの雲
湿った草の上
小さな夢を語った
ねえ　君はもう　僕のことなど
忘れちゃったかな
どこにいるんだい ららら
わからないけれど...

ずっと凍ったままだった
ぼくの胸のハート
冷たささえ忘れて
ずっと一人でいたんだ
それでもよかったんだ
さびしくなんて
強がりな哀れなぼくに
とってもやさしい手を
差し伸べて抱きしめてくれた
魔法のように　とけだす...