タグ「歌詞創作用小説」のついた投稿作品一覧(7)
-
親指と人差し指で彼に返した指輪を挟んでいる。
「……何それ…私に自分で処分しろってこと?」
「捨てんなよ!はめてろよ!」
「何で!いらないわよ、それはアンタに返したんだから、自分で処分しなさいよ!」
「………っ!」
みるみる彼の眉間に皺が寄る。
今日は誰かの眉間に皺が寄るのをよく見るなぁ……な...【歌詞創作用小説】遠距離恋愛。(7/最終話)
-
え…。
「私…元気ないように見える…?」
「声にも表情にも覇気がない!ああもう!あの男!」
「え、あの…落ち着いて…」
ピンポーン……
怒り狂って暴れだしそうな彼女に少し怯えながら、落ち着かせようとする私の部屋にインターホンが響く。
「は、はーい…」
彼女を放置するのは怖いけど……戻るまで部...【歌詞創作用小説】遠距離恋愛。(6)
-
「……ねえ、誰?」
彼の隣で、可愛らしい彼の『彼女』が、不思議そうに尋ねてる。
「ごめんね、デートの邪魔して……すぐに済ませるから」
「何言って…お前何でここに」
淡々とした声で『彼女』に詫びる私と違って、彼の動揺は、顔にも声にも顕著に出ていて、何だか少し可笑しい。
「うん……。……。あ、…これ...【歌詞創作用小説】遠距離恋愛。(5)
-
* * *
彼には連絡を入れず、私は彼の住む街に来ていた。
「こういうのウザいよね……」
なんて思いながら、でも、何故か声を聞くのが怖くて。
拒絶されたら…って。
いつもよりゆっくりと、駅から彼の部屋まで歩く。
ほんの数年前には、何度も何度も通っていたこの道。
久しぶりに通る私には、何...【歌詞創作用小説】遠距離恋愛。(4)
-
**********
もう一度、薬指に目を向ける。
コドモの恋、だったんだろう。
ただコドモの恋の延長にある現状《イマ》に胡座かいて、『恋愛』してるつもりになってただけ。
離れても大丈夫だなんて。
「……ウソつき」
…自分から動かなかった私が、彼ばかり責めることはできないけど。
* * ...【歌詞創作用小説】遠距離恋愛。(3)
-
******
「…………」
聞こえないくらいの小さな息を1つついて、外が見えるように電車のドアにもたれる。
流れる景色に重なって映る私の顔は、校則違反だったピアスホールとか、レッドブラウンの口紅(ルージュ)とか、………高校生だった頃とまるで違う。
あの頃は履かなかったヒールの高いブーツも、綺麗...【歌詞創作用小説】遠距離恋愛。(2)
-
閉まるドア。
流れ出す車窓の景色。
ガラスに左手をついて、眺めてた。
景色を、じゃなくて。
空いた、薬指―――……。
*********
出会いは15の冬。
高校入試、開始5分。
「すいません!遅れました!」
しん…と静まり返った教室内に、声が響いて。...【歌詞創作用小説】遠距離恋愛。(1)