タグ「オリジナル」のついた投稿作品一覧(13)
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臙脂楼
鈴の音
夕闇の瀬に浸されて
鎮まる東の空
染め抜いた赤い飾紐
結く月陰
誘う篝火
夜風に浮かれて
こそっと頬紅点しました
咲きませ恋の花...【結月ゆかり】臙脂楼【オリジナル】
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白い粒胡椒
其処は彼と無く揺蕩う
水陰の菅の葉の
雨粒拭えば
明日は晴れるのかな
五色の円
灯る火の花
軒先に蹲んで
そっと剥いだ絆創膏
濡れそぼれた懸り羽...【IA】白い粒胡椒【オリジナル】
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水浅葱
キャタピラ這ずる
朽木の接目から
芽吹きを誘う温り日
眺めの空はミサイル
ノイズ放つ未来図
浅き水の枯れ行く世界は
石の荒野に伏して雨を知るよ
深く潜まる千の藻屑を
銀の泡に擡げた隠し月夜...【結月ゆかり】水浅葱【オリジナル】
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あまなつジェラシー
朝靄晴れて縁側の
辺で一人突くのは
青い果実と淡い秘め事
雛罌粟の花散り舞う
丘の上膝枕
白い長靴下が好きですか
あまなつジェラシー
夕凪誘う夏木立
蛍火翳すラムネ玉...【GUMI】あまなつジェラシー【オリジナル】
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はつゆきエナジー
遣る瀬無いそんな日は
時雨模様の空見てました
濡れたシューズが重たいのです
雪交じる街の灯りを背に
読み返す手紙の文字
初恋の色溢れ出して涙
白い恋人はもう
マシュマロチックな雪雲の上
懐かしゅう声聞きたいのです...【GUMI】はつゆきエナジー【オリジナル】
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黒橡
涸び行く穂先を引く瘠せた一雫
囀り婀娜めく接がれ身の一時
廻る未空は色づいているのに
忤う微かな実を手繰れば
仄かに熱を帯びて
巡る夏の記憶… 冬の匂い。
少しだけ背伸びした秋の日は
黒い森へ行かなくちゃ
拉かれた葉脈が這い蹲う陽の陰...【結月ゆかり】黒橡【オリジナル】
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あかねスパイシー
三丁目の公園から見える
綿雲に隠れる夕日
絆創膏の膝小僧には
八月の悔し涙隠します
ポツンと項垂れる秋千
単管パイプの先の赤蜻蛉
海軍道路を撫でる様な
呆気羅漢とした茜の空
精一杯の前身頃...【GUMI】あかねスパイシー【オリジナル】
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はるまちエレジー
木通色の夕空が
だんだん狭まって僕に凭れた
ボストンバッグひとつ
ゆらゆら…
溢れ落ちた涙地平の果てまで染まるよ
斑雪散る分水嶺を越えればサヨナラ
月淡き恋の町
夜勤明けの水曜日
万感極まって解く小包...【GUMI】はるまちエレジー【オリジナル】
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薄縹
笹鳴いて日が落ちました
緩凛とした背伸び猫の様な
携えた一日の欠片を
石蕗の葉に流すよ
飽く無き雫です
寄り添って小波めく
網状脈の檻で
舞しきる茶蓑蛾
身削ぐ日月...【結月ゆかり】薄縹【オリジナル】
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禁鮑魚
吸葛
夏至の剋
跪く影法師
髪飾
撫でる指
垂る汗衫の揺らめき
甲殻に潜んでいた昨日
瘴霧に絆される明日
それは…...【結月ゆかり】禁鮑魚【オリジナル】
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真赭
重ね合う心動
緩やかな衰亡
掠れゆく日々の色々が
目論んだ経常
転げ落ちて失望
惜色が染まりゆくよ
真赭んだ空へ染まるよ
神風一蹴に乱舞した
千の脱殻...【結月ゆかり】真赭【オリジナル】
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紅玉女王
浅緋の厭舞
揺蚊と松毬模様
不確かな世界の色彩
弛んだ唇
安息に群がる修羅場
先見を塞ぐ瘡蓋
貪る韮菜炒牛肝
浪漫ですね
無辺の虚空に呑まれたのなら...【結月ゆかり】紅玉女王【オリジナル】
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小動
そうだね君と僕の暗黙の法則
面影は八粍の重さで
きっとね君と僕は憂鬱の輪廻
行き先はいつも同じ
「今日は要らないの?」
「そう… きっと恋とは別物だよね」
…なんて言い聞かせてみたり
届いた呼吸に赤らんだ蕾
踊る夜華かな?...【結月ゆかり】小動【オリジナル】