タグ「鏡音レン」のついた投稿作品一覧(6)
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【リン】
「リン王女、青の商人の一行が黄の国の港を出たとの報告が入りました」
「そう」
私室の窓から城下を眺め下ろしながら、大臣の報告を聞いて目を細める。
ああ、やっと。
もうすぐ。
もうすぐ、きっと元通りになる。
「出兵の準備はとうに出来てるんでしょうね?」
「はい、勿論。明日にでも出発す...【悪ノ派生小説】比翼ノ鳥 第二十七話【カイミクメイン】
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【リン】
カイトさんが黄の国に入ったというのは、大臣の口から聞いた。
あの人は嫌いだけど、今はレンにも会いたくなかったから、情報の殆どは大臣の口から聞くものばかりだ。
レンと、もうどれくらい口をきいてないだろう。
それでも、会いたくなかった。
会ったらきっと、また酷い言葉を浴びせてしまうか...【悪ノ派生小説】比翼ノ鳥 第二十三話【カイミクメイン】
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【レン】
カイトさんが黄の国に来たという話は、すぐに伝わってきた。
何しろ最近の市井での噂は殊更カイトさんとミクさんの話が多い。その噂の当人がやって来たのから当然と言えば当然だろう。
そして、この城下町に来れば、真っ先にこの城にやってくるのも、予想出来ていたこと。
これまでのリンなら、それこ...【悪ノ派生小説】比翼ノ鳥 第二十二話【カイミクメイン】
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【カイト】
ミクと過ごす時間は幸せで、そしてあっという間に過ぎていく。
毎日のように会い、話し、歌う。
それだけで、この上なく幸せな時間だった。
けれど、緑の国を経つ時は日に日に迫ってくる。
養父が俺とミクのことを見逃してくれているのも、その間だけ。幸せな時など、本当に一瞬で過ぎ去っていく...【悪ノ派生小説】比翼ノ鳥 第二十一話【カイミクメイン】
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【リン】
初めてカイトさんに会ったのは十歳の時だった。
まだお父様もお母様も生きていて、けれどレンとは引き離されていた。
五年経ってもわたしはレンと引き離されたことに納得がいかなくて、癇癪を起こしてはお父様やお母様を困らせてばかりいた。
いつも一緒に居たのに、傍に居たのに、どうして引き離され...【悪ノ派生小説】比翼ノ鳥 第二十話【カイミクメイン】
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【レン】
あれからずっと、きょうだいに関する痕跡を探している。
父上や母上の私室だった部屋を探ってみても、昔から居る家臣にさりげなく問いかけてみても、手かがりはなかなか掴めない。
日記の一つでもあれば何か解かったのかも知れないけれど、二人ともどうやらそういうものはつけない人だったようだ。けれど...【悪ノ派生小説】比翼ノ鳥 第十九話【カイミクメイン】