tamakichi

すごい雨だな
もうびしょびしょ
そんな顔すんなって
つっても無理か
いろいろあるわな
必死でやってりゃな
楽しねえで生きてくってことはさ
このどしゃぶりの中を走ってるのと同じかもな
前なんてろくに見えない
車に泥水ひっかけられたり...

発車時刻のベルが鳴る
慌ててドアに駆け込んだ
忘れ物はないですか?
忘れたいものばかりです
傷だらけのボストンバッグ
下着と替えのシャツ少々
詰め切れなかった電話帳
もう必要ない電話帳
列車は進む僕らを乗せて
踏切越えて汽笛を鳴らし...

もう十分わかってる
はじめはとても怖かった
どこを探しても見つからない
才能とかセンスとか
遅すぎる方向転換
やっと目が覚めたかと
安心させてあげたいが
最初の一歩が踏み出せず
ここまで来てもバカヤロウ
涙も滴り落ちるほど...

2.4メートルのネット
その向こうには
3枚のブロック
その向こうには
ケンカっ早いリベロが拾う
ヘリクツ屋のセッターが上げる
ボールは必ずここにくる
わかる
信じられる
間違いじゃなかった...

僕は昔弱かった
心も体も弱かった
よく母さんに叱られた
背筋をまっすぐ
胸を張れって
あんたはなにも恥ずかしいことはしてないんだからって
あれから何年たったろう
体は丈夫になってきて
心は弱いままだけど
いろんな人に助けてもらって...

春を唄う桜
それより少し寝坊して
鈴蘭という花は咲くの
かわいい鈴の形をして
毒をもってたりするの
私みたい?
だったら嬉しい
ちゃんと見ててくれたってことだもの
元気ですか?
あなたと離れて...

無限の可能性が
僕にはある
あせらないで
慎重に決めないと
たくさんの夢が
アタシにはある
急がなきゃ
間に合わないから
残された時間が
私にはある...

ふうせんふうせん
ふくらんで
大きく大きくなりました
ふうせんふうせん
穴あいて
小さく小さくなりました
もう高くは飛べなくて
もう空には飛べなくて
だけど誰かが覚えてる
知らない誰かが覚えてる...

日曜それは休日で
商店街をサンダルで
なじみの店に顔出して
からかわれて怒るふり
もらったコロッケパクついて
ビールがあればとこぼしつつ
家族連れを横目にし
おてんとさんを仰ぎ見る
言いたいことのひとつも
ないわけじゃないけどね...

ガキができた
オヤジになった
俺がオヤジに
悪い冗談だ
クソッタレな世の中だ
義理も人情もねえ
生きてたってしかたねえ
生まれてきたっていいことねえ
そんでもおまえは
食い物食い物...

きしんだドアを開ければさ
カップ麺の残り汁
カビの生えた虫食いキャベツ
夢見た頃は通り過ぎ
理想は燃えないゴミで出し
陰毛だらけのこの部屋で
膝を抱えて泣いた夜
誰のせいにもできねえわ
それだけわかれてよかったよ
陰毛だらけのこの部屋で...