自由を手に入れたいが為に私は羽を手に入れ、鳥になりました。
でも、鳥になった私は羽の代わりに腕をなくしました。
最初は、自由に飛べるようになったと喜びました。
けれども、腕をなくした私の心は悲しみで溢れました。
腕がない私は、大好きな貴方を抱きしめることが出来ないからです。
貴方には寄り添うことしか出来ません。
手を繋いで歩く事も、腕を組んで貴方に甘える事を出来なくなりました。
でも貴方は言いました。
君は僕を抱きしめることが出来なくなったけど、君は僕を包むことが出来るようになった。
君のその真っ白な羽で、僕を包んではくれないのかい?
そう、貴方は言いました。
それから幾年か過ぎた頃、貴方はついに息絶えました。
老衰でした。
私も同じくらい年を取りました。
でも、鳥になった私は何故か貴方と共に逝くことが出来ませんでした。
貴方はもういない。
けど私はもう、なきません。
亡骸になったあなたを、包む義務があるからです。
貴方を抱きしめていた腕をなくした代わりに、手に入れた羽。
その羽で貴方を包むことが出来るようになった。
だからいつまでも、包み続けましょう。
この羽が、私にある限り―――
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