(A)
遥かな時に身を淪落(りんらく)し
届かぬ声に涙染めゆく
朽ちゆきし日の十六夜の雨が
焦がれし胸を冷たく濡らす
(B)
ぼやける視界に浮かびし
微かなあなたの安らぎ
(S)
この夜に高らかに熱を上げ
ゆらゆらと朧火は消えてゆく
水面に写りしこの心だけ
抱えて時を数える
(A2)
揺蕩う(たゆたう)腕が引き伸ばせしは
叢雲隠す月の輪郭
(B2)
彷徨いしこの背包むは
漂い現世(うつよ)を舞う薫
(ラストS)
あの月をさめざめと泣き見上げ
泡沫の幻は霧になる
紅葉に宿せし言の葉だけが
沈みゆくは...
紅に染まりゆくこの身体
ゆらゆらと朧火は燃えている
水面に浮かびしこの心だけ
抱えて季節巡るの
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