そうやってまた貴方は
携帯電話の向こうから
簡単な言葉を押し付けて
自己満足に浸るのね
何も知らないフリをした
私は唇噛み締めて
美味しくない口紅を
アスファルトへと吐き出すわ

信号は青になり　タクシーが通り過ぎていく

何も知らずに　何も知らずに
唯　貴方に恋をしました
わからないまま　わからないまま
何かが汚されていたようです

大人にしたのは貴方でしょう

そうやってまた貴方は
インターホンの向こうから
奇麗事ばかり並べ立て
私の逃げ場を奪うのね
何も知らないフリをした
私はナイフを握り締め
林檎の皮を剥いてから
玄関へと歩き出すわ

気が付けば朝になり　どうせ許してしまうのに

何も知らずに　何も知らずに
唯　恋をしただけなのに
気が付いても　教えられても
汚れたものを持て余すだけ

女にしたのは貴方でしょう