カナリアイロ
【カナリアイロ】
降り続く雨の声。
やけに騒がしい。
「あーだ。こーだ。」
木漏れ日を避け、影。
傘は忘れた。
「此処が居場所?」
あぁ。
耳元でささやく声。
「何かお探しで?」
右往左往。
振り向くと、佇む影。
彼女と合った目が。
白、クロ、しろ。
抜け出したい。
限られたコチラ側。
もう一人は嫌だって。
囀るばかりで。
「気付いて。偽物はムコウ側。」
そう引き止めた彼女も、
「ひとりぼっち。」
どれだけ笑って。ねぇ。
「ひとりで平気だ」って強がっていても。
『大丈夫だよ』って
『傍にいるよ』って
聞きたいの僕だって知ってるから。
たとえ嘘だって。ねぇ。
「もうどうでもいいんだ」って、俯いた君に。
「大丈夫だよ」って。
「傍にいるよ」って。
無理矢理に「僕」を刻み付けて、精一杯ただ笑った。
卑怯な僕の言葉。(君の心試す。)
輝いて見える君の目。(僕の心試す。)
白に置き去りにされた二人だけの世界が、
「カナリアイロ」に染まってく。
何を手にしたって。ねぇ。
大切なモノから、失ってくんでしょう?
薄れていく記憶の様に。
あの日の虹の様に。
どうせ君も消える。消える。
君はなぜ笑って。ねぇ。
「もう、一人がいいんだ」って泣きそうな僕に。
「大丈夫だよ」って。
「傍にいるよ」って。
ワガママな心、救い出すの?
たとえ夢だって。ねぇ。
「もう一人じゃないよ」って、微笑んだ君に。
「大丈夫だね」って。
「傍にいてよ」って。
祈る様に僕は囁いて君を抱き寄せるんだよ。
君の腕の中。
踊り続けるよ。
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