この街一番の
汚い、娘
親も無く路傍に捨てられた
不治の病にかかるけど、
両目だけはキラキラ輝いていた。

この街一番の
金持ちの、息子
生まれつき何も見えなくて、
世界の色を知らないが
でも孤児にすら優しい紳士的な子

「どうせ私が死ぬのなら、
私が彼の目になるわ」
それを聞いてたお月様
願いを叶えてくれました

「あぁ、素晴らしい
あぁ、素晴らしい
あなたを通し見ている世界は、
あぁ、素晴らしい
あぁ、素晴らしい
……奇跡みたいだ」

死んだ彼女に墓は無いが
彼は地球中を飛び回る
広い世界を見せてくれる
そして
いつしか彼女は彼に恋をした


時が流れ彼も恋をした。
黒髪で清楚なお嬢様
死んだ彼女とは
余りに違う
非の打ち所のない完璧な娘

「もしも私が生きていて
彼が私を見つけたら、
彼は私をこんな風に……」
そんな答えなんか理解っているのに。

「あぁ、素晴らしい
あぁ、素晴らしい
あなたが見て行く世界は、これから
あぁ、素晴らしい
あぁ、素晴らしい
もっと鮮やかね」

「あぁ、素晴らしい
あぁ、素晴らしい
あなたを通し見ている世界は、
あぁ、素晴らしい
あぁ、素晴らしい
……奇跡みたいだ、

　でも……

「あぁ、狂おしい
あぁ、狂おしい
あなたを通し見ている世界は、
あぁ、素晴らしい
あぁ、狂おしい
どうして私…

ねぇ、お月様
もしお願いが
まだ叶うなら
早く……
彼が……
死にますように」

りららるら
りららるる

（らんらん、らんらん……）