[白]

光る小さな庭　溢れる香り
金色（こんじき）染まる窓　蔦が絡んだ

綺羅びやかな光線（ハルモニア）が
降り注ぐ仙境（らくえん）には
生命（いのち）という灯火（ともしび）が
ただ　頽れ消えてゆく

崩れ枯れてゆく世界の中は
少女（アリス）が一人　立ち尽くす砂漠
色あせてゆく仙境（ラグナロク）の奇跡
私の手を取って　頽廃（デカダンス）の花　咲かせてあげよう

瓦礫と成り果てた町の片隅
膝を抱える少女（アリス）　思いは募る

記憶の水底にある　仙境（らくえん）の日々は今も
鮮やかに　目に映ってるまま
殺戮が始まる

朱く染められる白亜の殿堂
炎に呑まれる千年の営み
血肉貪る獣の行く手に
少女（アリス）ただ一人で立ちはだかる

「返せ」
（兽吼）
「返せよー！！！」

「むかし　とある　やぶれた城の
娘　一人　侵略軍（ぐん）の前に立つ
恐れ一つもなく
城を背に　前へ勇み立つ」

崩れ枯れてゆく世界の中は
少女（アリス）が一人　立ち尽くす砂漠
色あせてゆく仙境（ラグナロク）の奇跡
私が守ってあげる　何があっても

やがて少女も城も消え　砂漠の中から
残されるは歌だけ

[黒]

（VOICE:物語の裏側に）

渦巻（うずま）く大気（たいき）が　泡立（あわだ）つ濁流（だくりゅう）が
混（ま）じりあう交差点（こうさてん）　佇（たたず）むは少女（アリス）

ああ　楽園（らくえん）は
もう　壊（こわ）された
黒色（くろいろ）の　戦車（せんしゃ）が這（は）う

「父（ちち）も母（はは）も姉（あね）も兄（あに）も殺（ころ）した　敵（かたき）に　無残な 死を！！」

紫（し）を帯びた斧　朱（あか）を染めた鎌を　手に
ああ　少女（アリス）は陣（じん）に臨（のぞ）む

怒りの雷　ただ無差別に　地上に堕ち
少女（アリス）の斧が　血肉と乱舞する

渦巻く大気が　泡立つ濁流が
ぶつけあう交差点　憤（いきどお）る少女（アリス）

「父も母も姉も兄も殺した　敵（かたき）に　無残な 死を！！」

「殺す殺す殺す殺す…殺し尽くしてやる！」

「地獄（らくえん）に供える最高の供物に
ああ　敵（かたき）の内臓の冠（かんむり）を　ああ」

暗黒の砂漠の　真ん中の赤い沢
甘く生ぬるく　匂い立つ少女（アリス）

ああ　少女（しょうじょ）は
もう　壊された
狂ったように　斧を振るう

「父も母も姉も兄も殺した　ああ　無残な 死を！！」
「父も母も姉も兄も殺した　ああ　無残な 死を！！」

「死を！」
「死を！」