ここは未来都市のドーナツ型したホテル
何も知らず二人チェックインしました宵

部屋に入るとすぐあなたはタバコへ出かけ
そのままホテルを一周そしたら様子が変

女:あれ、あんた左のほっぺにホクロあったっけ？
男:何言うてんねん。ホクロは右やろ
男:せやけど、まだ3時ってあの時計狂っとるがな
女:はっ？9時やけど

えっ！どないなっとんねん！

Ah ここにいるのはあなたの反転ペースト
右目は左左目は右
Ah あなたの仕草全ては鏡面反射ね
何だかとても可笑しくって
何だかとても可愛く見えた
ホテルクラインの壺

レストランは半周向こう側にあるみたい
二人は逆回りに歩いて行きました晩

女:あれあんたピアス右開けたん？
男:えっ、何言うてんねん、ほら、左やろ
男:せやけど、このメニュー裏返さんと読めないやつ何やこれ
女:はっ？あんた頭おかしくなったんちゃう？
えっ！どないなっとんねん！

Ah ここにいるのはあなたの反転ペースト
ナイフは左フォークは右
Ah 肉塊刻んでる二人は面対称です
何だかとても可笑しくって
何だかとても愛しくなった
ホテルクラインの壺

目が覚さめたらちょっとトイレに行きたくなって
おまけに迷って　私も一周してしまったの未明

女:あれ？あんたさっき私の左で寝とったよな？
男:何言うてんねん、俺の右側空いとるやろ
男:せやけどお前、その浴衣、左前はあかんで。死者の使いか！
えっ！どないなっとんねん

Ah こここにいるのは私の反転ペースト
ハートは右リングは左
Ah 喋れば喋るほど私は反対論者ね
何だかとてもちくはぐで
何だかとても切なくなった
ホテルクラインの壺

Ah 外へ出てみれば世界は反転ペースト
西は東東は西
Ah 記憶をたどる論理は神経衰弱
あなたの町はどこにあって
私の家はどこへ消えたの？
ホテルクラインの壺