「病名は心因性失声症です」
心因性失声症とは、心理的な要因によることで声が出なくなると言う病気。
私にとって声が出なくなると言う事は、今の職を失うということ。
そう、歌手である私にとって心因性失声症とは、努力して上り詰めた今の場所から奈落の底に突き落とされることと同じなのだ。
「発声の訓練と、カウンセリングなどによる心理療法の２つの治療法を行います。治療効果が高いですから、病気はだいたい１週間くらいで比較的すぐに治ります。」
一週間
本当に直るのだろうか？
もし二度と声が出せないのなら、生きてる意味は無い。
「ファリス、一週間くらいで直るのだったら何とかなりそうね」
マネージャーは、スケジュール帳にかかれたスケジュールを整理しながら話す。
「　　　　　　　」
声にならない声で、私は怒鳴る。
でも、マネージャーや医師は私が怒鳴った事に気付かない。
マネージャーは医師と話している。
私の事は関係無しに
私の近くの机に置いてあったペンと紙に、『今日は帰ります、それと一週間一人きりにさせてください』と書き残し私は病院を去った。
仕事が忙しくなっていた為に安めのマンションから引っ越す暇が無かった為に、一流の芸能人が住んでいるとは思えないマンションに今でも住んでる。
部屋には寝に帰ってきてるだけなので、ベッドの周り以外はすこし埃がたまってきている。
私は、気分転換に部屋の掃除を始めた。
久しく使っていなかった掃除機を使って掃除をしていく。
掃除は思ったより、あっけなく終わってしまった。
そういえば、番組でもらった最新式のパソコンがあるので組み立てる事にした。
たしか、このマンションはマンション全体でインターネットに介入しているから必要な機械があればすぐにでもインターネットが出来る。
その機械も番組で貰った様な気がしたけれど・・・
四苦八苦しながらようやくパソコンをインターネットに繋ぐ事が出来た。
気付けばあたりは、真っ暗。
出前でもと思い電話に手を伸ばした時、声が出ないと言う事を思い出した。
少し時間が掛かるかもしれないけれど、仕方なくインターネットで出前を取る事にした。
出前が届くまで、色々なページを見て回った。
そんな時、私は面白い物を見つけた。
ボーカロイド
パソコンを使って、歌を歌わせる事が出来るソフト。
私は何かに導かれるように『初音ミク』と言うソフトを注文していた。