路地裏に捨てられた僕らの身体に巣食う
刹那的な快楽は既に消費済み
枯れた木々の枝には愛をぶら下げましょう
冷えた背中に刺さる舌を噛んだような味
静寂に餞を
明かりを求め彷徨う盲目な夜間飛行
君は服を燃やす
いつかその濡れた翅で飛ぼうなんて笑う
閉じた蛹の中に忘れた物は何?
滴る体温
溢れ出して止まずに
薄い皮膚の下で蠢いている物は
そうして最後はそっと目を閉じるように
終われたらいいのにね
きっと
排水溝に渦巻く幽霊の叫び声
疲れ果てた両足は彼方に投げ捨てた
壊れて吐き出すエラー
正常値の死骸を踏みつけて歩いていく
目覚めることすらせずに
揺らめき消え去るあの日の君の姿
涙を落してただ手を伸ばすけれど
地を這う僕らは青い空ばかり見て
明日すら知らずに誰かの許しを請う
剥がれて
忘れて
愛した人の顔も
崩れていく記憶の彼方に追いやるのか
僕らは一匹の翅を得たばかりの虫
今でも飛べずに
ずっと
00:00 / 05:31
羽化
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想