凪いだ視界
一面にキランソウ
最終日揺れる
その命に触れた
君の全てが
身体に残る
こともないようで
振り向く君の笑顔と春の音
色づき始めたマルベリーの果実
空を仰いだ
届く青さを
持て余した
この翼で
逢いに行こうと
思うばかりだ
君に届くことは
ないけれど
いつか叶うよ
あなたの声と
その錆びついた
愛情で
頬を濡らした
あの日の夕に
置いてけぼりの
影ひとつ
赤く染まれば君も気づくかな
笑われるかな
それとも怒るかな
海を泳いだ
深い青さに
紛れ彷徨う
寂しさを
追いかけ続け
沈む身体に
伝わる寒さ
抱いたまま
いつか叶うよ
あなたの声と
その湿きった
愛情で
残りの日々を
食むのも憂で
今にも飛べる
いつか消えてしまうのなら
思いつく限りの言葉で
君を笑わせようと思うのだ
いつか消えてしまうのにね
どうせ消えてしまうのなら
痛いほど苦しい愛情で
君を抱きしめようと思うのだ
どうせ消えてしまうのにね
消えてしまったのにね
ほら夢見月
香るあなたは
私のどこに
在るのだろう
空を目指した
あの日の夕に
重ねただけの
影ふたつ
いつか叶うと
あなたの声で
この内側が
痛むんだ
いつか会えるよ
あなたと並ぶ
置いてけぼりの
影ひとつ
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