身を切る風に晒されて
さざめく想いが木霊する
散り往く楓に包まれて
うつむく空に雨が降る
煙る景色の向こう
遠い、遠い旅路の果てで
染まる紅葉の中
貴方は何処にいるのですか
浅き夢見し
長い、長い季節の始まりに
灯る燈籠(あかり)の先
私はずっとここで待っています
抱いた赤子の小さな指先から温もりが
消えてしまわぬように
抱(いだ)いた胸の高鳴り鼓動の音色を
忘れてしまわぬように
くべる、想いの数だけ燃やすのだ
貴方が帰る、その日まで
凍る湖の畔
舞い降りる白鳥たちは歌う
霞む視界に映る
低い雪空の下(もと)
届いた文(ふみ)はただ
貴方がいないと告げるだけ
嘆き夢見し
深い、深い微睡(まどろみ)の底
照らす光の先
この子まで取り上げて行かないで
泣かぬ赤子の弱くか細い呼吸の音が
途絶えてしまわぬように
焚いた囲炉裏の微かに揺れる燈火が
消えてしまわぬように
くべる、この身が燃え尽き消えるまで
この子にどうか祝福を
抱いた赤子の小さな指先から温もりが
消えてしまわぬように
抱(いだ)いた胸の高鳴り鼓動の音色を
忘れてしまわぬように
くべる、想いの数だけ燃やすのだ
貴方はいない、それでも
止まぬ吹雪の辛い寒さに耐えながら
いずれ終わる冬に春の芽吹きと温もりを願って
くべる、この身が燃え尽き消えるまで
この子にどうか祝福を
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