たくさんの時計が時を刻むお屋敷に、何の変哲もない小さな時計がありました。
毎日毎日、みんなと同じ時を刻む時計ですが少しずつ、ほんの少しずつ、彼女
の時はずれていきました。

小さな時計は必死で針を動かしました。正確な時を刻もうと。みんなと同じ時
を刻もうと。

しかしずれは大きくなるばかり。

そんなある日、屋敷の主人がやってきてずれた時計に気がつきました。
『壊れた時計は捨てられる』
ついにその時が来たのかと、小さな時計は泣きました。死ぬのが怖くて
泣きました。

しかし主人は、ずれた時計を手に取ると優しく優しく埃を拭い、優しい
声で言いました。
『君は君の時間を刻めばいい。それは何物にも代えがたい大切な時間だよ』

それからも、たくさんの時計が時を刻むなか、小さな時計はずれたまま
優しい時を刻んでいるのです。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

【コラボ用】時計の刻

コラボ用に短い物語に仕立てたもの。
正確さが求められる時計がずれたとき、時計の恐怖や哀しみ
はいかばかりか…。

あ、リンちゃん選択は適当ですw。

閲覧数:83

投稿日:2008/10/26 01:13:52

文字数:361文字

カテゴリ:その他

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