靴下をめくったら 覗くのは花冠の日々
壁にぶつけた苺 踏み砕いた飴
白紙の便箋が 手と手を 渡る
目には見えないおそろしいものは ずっと
黒いパンを食べて いきていた
スクリーンの前に積みあがった
たくさんの机の中に
隠したの
誰にも見えないように
隠して
忘れたの
終わらないような 真っ直ぐの道を
まだ自転車で 行くの
掴まった肩 本当はとうにすり抜けているの
その耳に届かないように 歌っていたの
鞄の中身を 全部捨てていたの
もう泣いたりは しなかった けど
新しい月を迎えたら 滲むのは花言葉
床を転がる鉛筆 骨の折れた傘
読めない本の隙間を くぐる
かたちのないやさしいものは ずっと
その指先に くっついて いた
チョークの粉が舞い上がった
咳き込んだ言葉の中に
隠したの
誰にも触れないように
隠して
失くしたの
変わらないような なだらかな道を
まだ自転車は 行くの
呼ばれた名前 本当はとうに笑っていられるの
その話聞こえないように 歌っていたの
つかえたものを ばらまいていたの
もう悲しくも なかった けど
緑の切先が揺れればまた
空からあのうたが落ちてくる。
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